「雇用調整助成金」の不正受給公表が累計1,446件 全国ワーストは愛知県、年商を上回る不正受給は31社
雇調金等の不正受給公表は合計1,446件、2024年は前年を下回る可能性
全国の労働局が公表した雇調金等の不正受給は、2020年4月から2024年10月31日までに1,446件に達した。支給決定が取り消された助成金は合計463億7,025万円で、1件あたり平均3,206万円。 月別公表は、9月39件、10月35件と2カ月連続で40件を下回った。2024年1-10月累計は526件で、前年同期(576件)を下回り、通年でも前年を下回る公算が高い。 公表された1,446件は、「雇調金」だけの受給が833件で約6割(57.6%)を占める。このほか、パートタイマー等の雇用保険被保険者ではない従業員の休業に支給される「緊急雇用安定助成金」だけが198件(同13.6%)、両方の受給は415件(同28.6%)だった。
都道府県別ワーストは愛知県、東名阪で上位
地区別では、最多は関東の542件(構成比37.4%)。次いで、中部285件、近畿256件、九州121件、中国95件、東北60件、四国46件、北陸25件、北海道16件の順。 前回調査(2024年7月発表)と比べ、増加率は東北が7.1%増(56件から60件)で最も高く、九州7.0%増、四国6.9%増が続く。一方、北陸と中国では前回調査以来、公表が無かった。 都道府県別は、愛知県が196件で最多。9月と10月の公表も最多の15件で、200件に迫る。 次いで、東京都180件、大阪府166件、神奈川県114件まで4都府県が100件を超えた。このほか、千葉県68件、広島県60件、福岡県56件、栃木県53件、埼玉県41件、三重県38件、京都府34件、宮城県と群馬県、新潟県が各29件の順。 ※ 各都道府県の労働局が公表した所在地に基づいて集計しており、本社所在地と異なる場合がある。
産業別 飲食業などのサービス業他が約5割
雇調金等の不正受給が公表された1,446件のうち、TSRの企業情報データベースで分析可能な1,093社(個人企業を一部含む)を対象に、産業別と業種別で分析した。 産業別では、サービス業他の496社(構成比45.3%)が最多だった。次いで、建設業141社(同12.9%)、製造業126社(同11.5%)の3産業が100社を超えた。以下、小売業72社(同6.5%)、卸売業と運輸業が各71社(同6.4%)が続く。 産業を細分化した業種別では、「飲食業」が155社(同14.1%)で最多。「建設業」141社、人材派遣や業務請負など「他のサービス業」が107社で続き、上位3業種が100社を超えた。このほか、旅行業や美容業など「生活関連サービス業,娯楽業」84社、経営コンサルタントなどの「学術研究,専門・技術サービス業」74社、「運輸業」71社、ソフトウェア開発などの「情報サービス・制作業」50社、「不動産業」42社、「宿泊業」30社、「医療,福祉事業」28社の順。