鍋シーズン到来 ひとりで食べるならすき焼きより、やっぱり「キムチ鍋」なワケ
以前から「ひとり鍋」の人気店は存在した
六本木、表参道、銀座で展開するきのこ鍋専門店「Shangri-La's secret(シャングリラズシークレット)」。 こちらでは、30種類のキノコを煮だしたブラックスープを味わう薬膳鍋が楽しめます。メニューはかわいくおしゃれなベトナム産の鍋でひとりずつ提供され、自身の好みの火通し具合で味わえます。人に気を遣って味を決めたり、取り分けしたりしなくてもいいのです。 もちろんこのブラックスープの鍋がとてもおいしくて、美容にも良く、おしゃれであるという大前提はあってこそですが、年中大人気のお店となっています。
今後も高まる「ひとり鍋」需要
食品メーカーも個食対応のため、多くの「ひとり鍋」用のスープやセットメニューを開発していることから、外食に限らず、「ひとり鍋」を意識する人が今後増える可能性は高いでしょう。外食業界もこのマーケットを捉えれば、集客につなげられる可能性が高くなります。 しかし外食の競合は外食ではなく、前述のとおり「食のボーダレス化」です。そのため、自炊や中食(総菜やコンビニ弁当などの調理済み食品を自宅で食べること)では体験できない、外食ならではの「ひとり鍋」を開発することが重要となります。 これまで提供してきた鍋を単に「ひとり鍋」へ替えるのではなく、 ・意外な素材の組み合わせ ・「超激辛」「超こってり」などの衝撃さ ・味変や驚きの演出などのプロフェッショナルさ ・他人とシェアしにくい製品の開発 に期待したいところです。 とはいえ、外食の醍醐味は人と人とのコミュニケーションです。みんなでワイワイとテーブルを囲んだ外食シーンが日本中に、いや世界中に戻ってくることを信じ、願ってやみません。
有木真理(ホットペッパーグルメ外食総研・上席研究員)