「家という安心できる居場所から、学校という社会に出るのが怖かった」不登校を経験した女子大生クリエイター・わたげが語る、ぼっち活の魅力 #今つらいあなたへ
“ぼっち”のマイナスイメージを「ぼっち活」で変えたい
――そんなわたげさんは、現在「ぼっち活」をSNSで発信しているとのことですが、そもそもぼっち活とはなんですか? わたげ: 簡単に言えば、ひとりで色んなところに行くことなんです。世間的には「ソロ活」とも言われたりしますね。個人的にソロ活との違いは「ひとりでも楽しんじゃうぞ!」という強い気持ちのもとに行動することだと思います。普通は人と行くような場所、焼肉屋や遊園地だとしても、めいっぱいひとりで楽しみます。 ――ぼっち活を始めたきっかけは? わたげ: 通信制の高校では、クラス単位で動くことが全くなかったんです。「今この単位が足りないからこの授業に出よう」とか、全部ひとりで決める仕組みだったので、周りの目を気にせず行動できました。 その中で「あれ? ひとりでもなんだか心地良いな」「頑張って他人の気持ちを汲み取らなくても、こうやって行動できるんだな」と、ひとりの良さに初めて気付きました。それから「じゃあ今度はここに行ってみようかな」と、どんどん行動範囲が広がっていきました。その流れで、高校2、3年生頃からぼっち活をやるようになりました。 ――その魅力とは? わたげ: 例えば、映画は人と一緒に見たら、見終わった後に感想を言い合わなきゃいけない雰囲気がありますよね? それがないってすごく楽なんです。ひとりで内容について考える時間を持てるし、ネットの考察を見て「あ、そういうことだったんだ」と噛みしめたりもできる。“シェアの強制”がないことの楽さを、最近すごく実感しています。 他にも、遊園地で一日中誰かと過ごすのって、結構疲れるんですよね。友達同士だとしても、並んでいる間に疲れてプチ喧嘩が勃発してしまったり、行きたい場所があっても気を遣って言い出せなかったりする。だけどぼっち活なら、自分の行きたいところに自分の好きなタイミングで行けるし、人に気を遣わなくてもいい。この楽しさが、ぼっち活の魅力の一つなんじゃないかなと思います。 ――ぼっち活をSNSで発信してみて、どんな反応が返ってきましたか? また、それに対してどう思いますか? わたげ: 発信を続けるうちに、見てくれた人から「私もひとりで悩んでいたけど、勇気をもらいました」「“ぼっち”って駄目なことだと思っていたんですが、わたげちゃんの動画を見て、今日初めてひとりで行動できました」という報告のコメントをもらうようになって。全国にはこんなにたくさん“ぼっち”で悩む人がいるんだって、初めて知って驚きました。やっぱり世間的に“ぼっち”ってマイナスなイメージなので、自分の活動でそのイメージを変えたいなって思うようになりました。 あとは、「今までずっと3人で仲良くしていたけど、ある日私に内緒で他の2人が遊んでいるのを知ってしまいました。私はもうハブられてしまったんでしょうか? 今後どう接したらいいかわからないです」みたいな相談をいただいたりもします。直接的な返信はしないんですけど、動画を通して「たとえひとりになったとしても、こんな奴がいるんだから大丈夫だよ」というポジティブな発信をして、ちょっとでも悩みが小さくなればいいかなという気持ちでやっています。 ――ぼっち活の必須アイテムは? わたげ: 私的にはイヤホンです。「お行儀悪いぞ」と言われることもあるんですけど、イヤホンをすると、ひとりの世界に没入できるんです。以前ひとり旅に行った時、イヤホンがないことに気付いた時は、もう絶望してしまうくらいで……。でもその時はたまたま、プラグが違う型のイヤホンは持っていたんですね。そのイヤホンで音楽を聴くことはできないんですけど、ダミーとしてずっと付けていました。安心感のために。