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扇風機のみの使用は時に危険 コロナ禍の夏に熱中症から身を守るポイント

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Forbes JAPAN

猛暑が続いている。猛暑といえば熱中症だ。厚労省によれば、2018年の死者数は1581人で、前年度の635人の約2.5倍、過去10年間で2010年の1731人に次いで2番目の多さだった。 地球規模で温暖化が進むなか、真夏の猛暑は、いまや命に関わる大問題となりつつある。 では、誰がいちばん熱中症で被害を蒙るのだろうか。それは高齢者だ。2018年で言えば、20歳代の若者が8人死亡しているものの、死亡者に占める65歳以上の割合は81.5%である。 熱中症対策とは、高齢者対策といっても過言ではない。 体力がなく、基礎疾患を抱える人が多いため、軽度の熱中症でも命に関わることがあるからだ。また、認知機能の低下により、熱中症に気づかない、あるいは気づいても1人で外部に助けを呼べないこともある。室内で安静にしていても熱中症を起こす場合もあるため、注意が必要だ。 扇風機のみの使用はリスクを高める恐れも どうすれば、熱中症から身を守ることができるだろう。注意すべき、いくつかのポイントを紹介しよう。 まずは、こまめに水分を補充することだ。これは医学的に極めて適切な対応で、多くの人が認識するようになってきている。外来診療をしていると、「OS-1」などの経口補水液を携行している高齢者も増えた。 また、高齢者は発熱、倦怠感を主訴に受診しに来るのだが、来院前から熱中症の可能性を疑っているようだ。同居する配偶者や子どもに勧められた人が多い印象もある。 2つ目の対策は、高温多湿な環境を避けることだ。高齢者が夏場を無事に過ごすにはクーラーが欠かせない。目標とする室温は個人差もあるが、28度以下が望ましい。老朽化したクーラーでは、実際の室温と設定温度に乖離が存在することがある。室温を28度に設定していても、室温は30度以上ということが珍しくないため注意が必要だ。 問題は扇風機だ。クーラーの効いた部屋で扇風機にあたるのはもちろん問題ないのだが、高温多湿の室内で扇風機だけに頼るのは、時に危険な場合がある。高齢者にとっては、かえって熱中症のリスクを高めることになるかもしれない。 2016年9月、米国医師会誌「JAMA」は、テキサス州の医師たちの興味深い研究成果を掲載した。この研究では、平均年齢68歳の高齢者9人を対象に、男性はショートパンツ、女性はショートパンツとスポーツブラの格好になって、42度に維持された室内で座ってもらった。湿度は30%で30分、その後5分ごとに2%ずつ最高70%まで湿度を上昇させた。 この手順を扇風機のあり、なしの場合に分けて繰り返し、深部体温や心拍数などを記録した。扇風機は16インチのものを、被験者から1メートルの距離に置いた。 結果は意外だった。扇風機を用いた場合のほうが心拍数、深部温度ともに上昇し、その差は統計的に有意であった。このような結果になったのは、体温を超えた室内の空気を、扇風機が継続的に送り続けたからだろう。 夏場にクーラーを使わなければ、室内の温度は容易に体温を超える。このような環境下では、クーラーなしで扇風機を使うと命を危険に曝すことになりかねない。 実はこの研究結果は、その前年の2015年2月に、同じ「JAMA」に掲載されたカナダの医師たちの報告とは正反対だった。この報告では平均年齢23歳の若年者を対象に、扇風機の熱中症予防効果を検証したが、扇風機にあたった若者のほうが深部体温は低下していた。 この2つの試験の結果の乖離は、若年者は扇風機にあたることで全身の発汗が増えたが、高齢者ではそうでなかったために生じている。加齢に伴う汗腺機能の低下が影響していると考えられている。

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