円形脱毛症の飲み薬として「バリシチニブ」をFDAが初承認
FDA(アメリカ食品医薬品局)は、アメリカ大手製薬会社であるイーライリリーの抗炎症薬「バリシチニブ」を、重度の円形脱毛症の経口治療薬として初めて承認しました。このニュースについて竹内先生にお話を伺います。 [この記事は、Medical DOC医療アドバイザーにより医療情報の信憑性について確認後に公開しております]
厚生労働省が発表した内容とは?
編集部: 今回、厚生労働省が発表した内容について教えてください。 竹内先生: 6月13日、FDAは重度の円形脱毛症に対する治療薬として、経口ヤヌスキナーゼ阻害薬のバリシチニブを承認したと発表しました。円形脱毛症に対する経口治療薬をFDAが承認することは初めてのことです。 バリシチニブの毛髪再生についての有効性は、2022年3月にアメリカのイエール大学のブレット・キング氏らの研究グループが電子版「The New England Journal of Medicine」で発表しています。 研究グループは、10カ国の169施設で臨床試験をおこない、対象患者にバリシチニブを4mg・2mg、偽薬を投与するグループの3つに分けて臨床試験をおこない、試験期間中はほかの治療を受けないように同意を得て試験を進めました。 試験は2019年3月に始まったもの(試験①)と、2019年7月から開始されたもの(試験②)の2つの回に分けて実施され、それぞれ654人と546人の患者が分析対象になりました。 36週時点でSALTスコアと呼ばれる、脱毛が見られない状態の0から頭部全体が脱毛している状態の100までの範囲を表す指標が20以下になっていた患者の割合は、試験①ではバリシチニブ4mg投与グループでは38.8%、2mg投与グループでは22.8%、偽薬投与グループは6.2%でした。試験②の4mg投与グループでは35.9%、2mg投与グループでは19.4%、偽薬投与グループは3.3%となり、2つの試験回ともに有意な差が出ています。