【毎日のように着信も…】孤独な石破茂首相が頼る「大物落選議員」が明かした「意外な助言」の中身
心のこもらぬ「謝罪」
10月の衆院選で大敗して少数与党に転落し、厳しい政権運営が続く石破内閣。在任期間が現行憲法下では3番目の短命記録となる宇野宗佑氏の69日に並んだ12月8日、自民党本部で先の衆院選で落選した議員と執行部が意見交換を行う「非現職前支部長との懇談会」が開催された。 【画像】「側近」との約束も反故に…石破首相が見せた意味深な笑顔 「大変厳しい審判をいただいた。総裁たる私の責任だ。皆さんの声を謙虚に承り、できることは全て実行していく」 石破茂総理総裁(67)は落選した議員にそう陳謝した。 同会には、下村博文元文科相(70)や高木毅元国対委員長(68)、衛藤征士郎元衆院副議長(83)など約100名の落選議員が参加するも、甘利明元幹事長(75)や武田良太元総務相(56)は姿を見せなかった。丸川珠代元五輪相(53)は会には参加したものの、報道陣の前に姿を見せなかった。 「選挙に落ちればただの人、という言葉があるが、次の衆院選の候補となるためには選挙区の支部長に就任せねばならず、誰を支部長にするか選任する権限は現執行部にある。会では30人以上が質問し、2時間半も意見交換しましたが、支部長の座がチラつくのか、執行部に不満をぶつけても辞任を求める発言までは出なかった」(会に参加した前衆議院議員) それでも、裏金事件に関与して非公認となった候補の政党支部に2000万円が振り込まれた件については執行部を追及する声が上がった。 「ただ、森山裕幹事長(79)が“タイミングを間違えた”と謝罪する程度で、誰が責任をとるでもなく、意思決定のプロセスもわからないままで終わりました。投開票4日前に2000万円支給問題が噴出し、勝てる候補ですら落選する要因となったのに……。これで『政治とカネ』について建設的な議論など、できるはずがない」(同前) ◆「落選議員」が心の支え 石破氏は会の最後に「意見を聞きながらよりよい党運営に努めてまいりたい」と短く述べるにとどまった。 懇談会後、下村氏は報道陣の前で、「2000万円問題で(選挙戦の)空気が一瞬で変わった。野党の攻撃材料となり、街頭で演説しても、聞く耳を持たれなくなった。大ダメージだった。それが私自身の落選にもつながった」と憤った。 衛藤氏は、「重複立候補は認めない、あるいは公認しないとか決定した党執行部も責任を負うべき」と訴えた。ベテラン議員の訴えは私怨ではないだろう。 衛藤氏は政治資金収支報告書に1070万円の不記載があり、4月に党役職停止処分を受けた。比例代表への重複立候補が認められず、大分2区で落選。 一方で衛藤氏は総裁選ではいち早く石破支持を打ち出し、総裁選前の石破氏に「嫌でも同僚議員と酒を飲み、頭を下げろ」とアドバイス。石破氏の人付き合いの悪さを諫めることで、石破政権誕生の片翼を担った。解散後、石破氏から「先輩は落とさせませんから。私が大分2区に入ります」と熱い言葉をかけられるも、石破氏が衛藤氏の選挙区に入ることはなかった。 衛藤氏が本誌に見せたスマホの着信履歴には、石破氏からの着信が無数に残っていた。毎日のように電話している時期もあった。 「相談できる相手がいなくて困っているんだろう。表情が暗いから『もっと笑え』と伝えているよ。つらい時はワシの言っていたことを思い出して笑え、と。国会でも笑顔が増えるといいが……」 衛藤氏はそう語ると、本誌記者の再度の質問を手で制し、党本部から立ち去って行った――。 取材・文:岩崎大輔
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