「ゴネる」「払わない」「時間稼ぎ」…上海の日本人御用達スーパー「カルフール」のガラガラ惨状に見る《中国企業の手口》
かつて日本人が「上海のスーパーで買い物する」と言えば、日本人駐在員が多く集まる古北エリアにある仏系「カルフール」古北店だった。ところがいま、同店を訪ねてみると、目も当てられないほど閑散している。 【写真】まるで「夜逃げ同然」…ガラガラな「カルフール」古北店内部の様子 競合の米系「ウォルマート」はいまだ健在なのに、かつてあれほどの隆盛を誇った「カルフール」はどうしてしまったのか。前編記事『「上海」の日本人御用達スーパー「カルフール」が「夜逃げ同然」のガラガラ…わずか4年で200店舗も減った「ヤバすぎるワケ」』につづき、その背景を探る。
最初の支払いは「約束の7ヵ月後」
中国家電量販最大手「Suning」(スーニン)がカルフール中国を買収した経緯を振り返ってみよう。 買収時の契約では、2019年6月に80%を買い取り、残り20%もその2年後に12億元(当時のレートで約204億円)で買収すると約定していた。80%分が48億元なので、20%の持ち分は単純計算すると12億元になる。 ところが、その2年間でカルフール中国の業績は落ち込み続けてしまった。契約を締結した時点と比べて、その価値が大きく毀損したのは間違いない。そのため、Suningはこの12億元を出し渋り、約定より遅れること7ヵ月後の2022年4月にとりあえず2.04億元を支払っている。 しかし問題はこれで解決したわけではなかった。
契約遂行の誠意は見せるが…
そもそも持ち分買収は蘇寧国際集団股〇(〇は人偏に「分」)有限公司(以下、蘇寧国際)で行われているのだが、この遅れて支払う12億元分について、Suning(蘇寧易購股〇有限公司;〇は人偏に「分」)が契約履行保証を差し入れているのである。 〈蘇寧国際に何かあったとしても、母体であるSuningが代わって支払うことを担保します〉 こうした誠意を表向きに見せているにもかかわらず、実際のところ、Suningはなかなか残額を支払わない。 そのため、持分譲渡者の仏カルフール側(Carrefour Nederland B.V.)と蘇寧国際との間で仲裁が行われ、蘇寧国際=Suningの負け、すなわち残額を速やかに支払うようにと判断が下されたのだが、その仲裁結果に対して異議を申し立てている――というのが現在の状況である。 仏カルフール側からすると、ピークに陰りが見えてきた2019年に売却したのは「いいタイミングだった」と言える。買収したSuning側からすると、ババをつかまされた感は否めない。とはいえ、当事者間で約定したことだから遵守するべきだ。 しかも、カルフール中国の価値が目に見えて毀損し始めたのは、Suningが買収して以降のことである。仏カルフール側からすると「価値を下げたのはお前だろう」と言いたいところだろう。