シャープ「中国企業に技術供与」が危険なワケ/木暮太一のやさしいニュース解説
すぐ中国企業に抜かれる可能性も
―――「すぐ中国企業に抜かされる可能性があるってこと?」 そうなんです。もしこのCECが技術だけもらって、「いろいろ教えてくれてありがとうございました。では、さようなら」と言ったら、その日からシャープの大事な製品が「CEC製」で安く世界中に売られてしまうことになるのです。 日経新聞の記事によると、シャープは「「知的財産権が守られ適切な対価が支払われることを確認できたため、供与を決めた」としているようですが、率直に言って不安が残ります。 確かに、目先の打開策としては、「合弁・提携」も必要だったかもしれません。しかし、アナログ製品に比べて、デジタル製品の生産技術は、圧倒的に簡単に「コピペ」できてしまいます。 日本企業はもはや生産コストでは国際競争力を完全に失っています。画期的新商品のアイディアを生み出すことも、「得意!」とはいえないでしょう。 日本企業が持っている一番の競争力は、「技術」です。かつての半導体メーカーのように、その技術を流出してしまいかねない事態に陥っているかも?という視点で、注意をしながら経過を追わなければいけないと思います。 ----- 木暮 太一(こぐれ・たいち) 経済ジャーナリスト、(社)教育コミュニケーション協会代表理事。相手の目線に立った伝え方が、「実務経験者ならでは」と各方面から高評を博し、現在では、企業・大学などで多くの講演活動を行っている。『今までで一番やさしい経済の教科書』、『カイジ「命より重い!」お金の話』など著書36冊、累計80万部。最新刊は『伝え方の教科書』。