巨大地震を抑えた伝承が残る「要石」が全国に点在 新パワースポットとして注目の神社は?
9月1日に関東大震災から101年を迎えた。8月15日、南海トラフ地震臨時情報「巨大地震注意」への特別な呼びかけ期間は終了した。しかし、神奈川県西部でも9日と15日にやや強い地震が発生し、茨城県では19日に震度5弱の揺れが襲った。日本全国で自然災害への不安が募るなか、地震にまつわるパワースポットが話題になっている。 【被害想定】もし「富士山噴火」が起きたら… 火山灰で首都圏の都市機能どうなる? 地震を抑えているという「要石」と呼ばれる霊石が祀られているのが、茨城県の鹿島神宮(鹿島神社)と千葉県の香取神宮(香取神社)だ。直線距離にして15㎞、利根川を挟んで両社が鎮座している。交通の要として、また蝦夷対策としても古代から重要な場所であることから屈指の武士神が祀られている関東では有名な神社だ。 この二つの神社に共通してある「要石」を参拝に訪れてみると、巨大な石が鎮座していると思いきや、人間の頭ほどの大きさ。ところがこの石、地表に見えているのはほんの一部。地下に岩のような石が埋まっているという。その大きさは、江戸時代、水戸の黄門様が(徳川光圀)が7日7夜この石を掘り続けても底が見えてこなくて作業をあきらめたと伝えられているほどだ。 地表部分の形は、鹿島神社の要石が凹型、香取神社は凸型をしており、地震を引き起こすと言い伝えられている大ナマズの頭を鹿島が、尻尾を香取の要石が押さえて地震を抑えていると言い伝えられているのだが、いまだ正確な大きさはわからないという。この二つの石は地下でつながっているといわれている。 このように古くから鹿島神宮と香取神宮は、武神としても崇敬されるかたわら、双方の「要石」にまつわる伝説や神聖なパワーが言い伝えられ、お詣りに訪れる人々が絶えず、地震を防ぐための祈願が行われるようになった。 実は、東日本大震災の際、激しい揺れにより旧鳥居は倒壊。幸いにもそばに参拝者はいなくて、人身、家屋への被害はなかった。これも地震の神様たるゆえんかもしれない。その後境内にある杉の木で木製の立派な鳥居が再建されたのだ。 関西にも地震を防ぐ霊石として信仰されている「要石」がある。三重県伊賀市の大村神社に祀られている。1854年7月9日に発生した安政伊賀上野大地震の時、近畿エリアのこの地区だけが大災難から逃れたのは、大地を揺れ動かす大ナマズをこの要石がしっかりと抑えたおかげだといわれているのだ。現在も地震の神様として全国から参拝客が訪れ、毎年9月1日の防災の日には地震除災祈願大祭が行われる。 「要石」で調べると、要石神社が静岡県沼津市に存在した。やはり地表に出ている部分はわずかだが、実は巨石が地下に広がっており、地震を起こす大ナマズの頭を永遠に抑えているという伝説がある。この「要石」より北側には津波は来ないといわれ、1855年の安政東海地震のときもこの近隣の被害は軽微であったといわれている。 「要石」が祀られているパワースポットが全国に点在するのは、日本が地震列島だからだろうか。大地震に備えつつ、神頼みに多くの人が訪れている。 (取材・文=浦上優) ◇ ◇ ◇ 今注意すべき、地震の可能性が高まっている場所は? ●関連記事【もっと読む】次に激しく揺れる場所は… 30年以内に震度6弱以上の発生確率は「水戸81%、徳島・高知75%、東京47%」… に詳しい。