低カロリーのパイナップル 可食部は“果実”にあらず ミカンと同量の意外な栄養とは
国内では沖縄で生産されているパイナップル。通年で出回りますが国産品は希少で、多くは輸入品です。トロピカルな味わいで水分を多く含む果物なので、暑さが気になり始める今の時期は特に人気ですね。実は食べている部分は果実ではなく、花を支えている肥大した花托(かたく)だとご存じでしたか? パイナップルの栄養や豆知識について、栄養士の和漢歩実さんにお話を伺いました。 【写真】パイナップルの花は黄色ではない! 薄紫色に咲く様子 ◇ ◇ ◇
食べている部分は肥大した花托(かたく)という茎
パイナップルはブラジルが原産とされる果物で、亜熱帯から熱帯地方で育ちます。語源はパイン(松かさ)になるアップル(リンゴ)の意味から。一説によると、スペインやアフリカなどには1500年頃に、沖縄には1800年代に伝わったとされています。 食べている果肉は果実ではなく、肥大した花托(かたく)という茎。果実は表面のウロコのような部分で、一つひとつに花が咲きます。全部150個ほど咲くそうです。 バナナやキウイなどと違い、パイナップルは収穫後に時間を置いても熟さないのが特徴です。丸ごと購入した時は、葉の根元を1センチほど残して包丁で切ります。そのまま冷蔵庫の野菜室で4日ほど保存が可能です。 カットされているものは、2~3日くらいで食べきる方が良いでしょう。食べきれない場合は冷凍パインにしてもおいしいですね。
ビタミンCや食物繊維が豊富 ただし食べすぎには注意
パイナップルの栄養価について、日本標準食品成分表2020年版(八訂)を基に見ていきましょう。可食部100グラムあたりの生のパイナップル(同成分表での表記はパインアップル)のエネルギーは、54キロカロリー、糖質は12.6グラムです。他のフルーツとエネルギーを比較すると同量のリンゴ(皮なし)が53キロカロリー、バナナが93キロカロリーなので、パイナップルは低めといえるでしょう。 意外と思われる人がいるかもしれませんが、皮膚や血管の老化を防ぐ抗酸化作用、コラーゲン生成に必要なビタミンCは35ミリグラムで、ミカンと同じ量です。以上から、パイナップルは低カロリーで、肌にハリや弾力を与える美肌効果が期待できる果物といえます。 食物繊維は1.2グラムで水溶性が0.2グラム、不溶性が1.0グラムと両方含まれています。食物繊維には整腸作用があるため、大腸がんや生活習慣病の予防も期待できそうです。 また、タンパク質分解酵素のブロメラインを含むため、肉をやわらかくすることができます。しかし、この成分は熱に弱く活性が失われてしまうため、肉をやわらかくしたい場合は、加熱する前に漬け込むと良いでしょう。酢豚のような加熱料理は、風味付けとして用いられていることが多いようです。 主菜である魚や肉はタンパク質を多く含みます。そのため、食後に生のパイナップルを食べることにより、タンパク質の消化促進効果が期待できます。 ただし、胃の粘膜のタンパク質まで反応してしまうため、食べすぎは良くありません。同様に、口の中や唇などが荒れることもあります。南国の果物であるため、食べすぎると体を冷やすことも。適量をいただきましょう。
Hint-Pot編集部