半導体強国コリア、みすぼらしい生態系…素材・部品・装備は日本に依存、パッケージングは台湾に劣勢(2)
◆「政府、10年先を眺めて素材・部品・装備投資を」 こうした結果は、政府の政策的支援がなかったためという指摘だ。素材・部品・装備は技術に関しては日本や米国に大きな遅れはないというのが業界の説明だ。しかしサムスン電子・SKハイニックスのような半導体企業の立場では、これまでの検証された海外製品を使用する方が安定的になるしかない。素材・部品・装備未来フォーラムのキム・ドンソク事務総長は「中国のSMICや台湾TSMCは自国の装備や素材を使用すれば政府から補助金を受ける」とし「しかし韓国にはこうしたインセンティブがないため、サムスン電子・SKハイニックスがリスクを負って検証されていない国産製品を使用する理由がなかった」と伝えた。 半導体生産ラインの変更には少なくない資金が必要であり、国産製品を使用しないからといってサムスン電子やSKハイニックスを非難することではない。産業研究院のキム・ヤンパン研究委員は「装備や部品は交換周期自体が長いうえ、取り替えに数十、数千億ウォンかかるため、政府が介入しなければ企業としては安定した従来の調達先を変える理由はない」と話した。半面、中国は国産製品使用後に生産ラインに問題が発生すれば、これに補償金まで支給する。キム・ドンソク総長は「政府の支援のおかげで中国は半導体装備国産化率が50%を超えるが、韓国は依然として20%程度にとどまっている」とし「親が子を世話しないのに近所の人が他人の子を世話するだろうか」と話した。 政府の支援も数十年前から税制優遇にとどまっている。直接的な支援は「大企業特恵」という認識が強いからだ。しかし業界では「米国・中国のように競争力がある企業への直接的、破格的な支援が効率的」と強調する。米国は半導体支援法を通して計520億ドルを直接支援していて、日本も約2兆円を補助金として支援している。中国は今年5月、過去最大となる3440億元(約7兆1600億円)規模の半導体第3次ビッグファンド計画を明らかにした。与党・国民の力は最近、補助金のような直接支援の根拠を反映した半導体特別法を制定し、28日の本会議通過を目標にしているが、野党が協力するかは未知数だ。 垂直系列化に慣れている韓国特有の企業文化も半導体生態系の構築を妨げる要素だ。TSMCが自国のデザインハウス・パッケージング企業と分業・協業を通じて市場シェアを拡大しているのとは対照的だ。ある半導体装備会社の関係者は「韓国企業の情緒上、サムスン電子と取引をすれば自然な流れでSKハイニックスとは取引ができなくなる」と話した。こうした状況で多くの半導体企業が競争力を失い、大企業の下請け会社に転落しているというのが業界の説明だ。 専門家らは今からでも国内の生態系をしっかり構築してこそ競争力を回復できると口をそろえる。素材・部品・装備からパッケージングまですべての生態系を構築するのは難しいだけに、韓国が得意な分野を選別して集中育成するべきということだ。チェ・ジェソン教授は「設計と生産、パッケージングまで生態系を構築した台湾が良い例」とし「台湾は素材・部品・装備生態系を完全に構築する代わりに、TSMCを中心に強小企業が設計とパッケージングを特化し、今では代替不可能な生態系を構築している」と説明した。 ただ、コロナ拡大当時のようにグローバルサプライチェーンに問題が生じたり日本などが輸出規制をしたりすれば生産に支障が生じるだけに、最小限の生態系は構築する必要があるという指摘だ。キム・ヤンパン研究委員は「生態系を放棄できない理由はサプライチェーンのため」とし「コロナ拡大のような事態がまた発生して工場の稼働がストップすれば天文学的な損失が発生する」と話した。韓国半導体産業協会のアン・ギヒョン専務は「今からでも5-10年以上先を見通して中国、台湾のように政府が素材・部品・装備企業に直接的で果敢な投資をしなければいけない」と強調した。