「子どもの愛し方がわからない母親だっている」依存症だった母との壮絶な日々
子育ては「できて当たり前」じゃない
――世間では、親子関係をめぐる事件が起こると「母親なのに」と批判されます。一方で、子どもがかわいくない、愛せない、と悩む母親もいます。母性は誰にでもあるものでしょうか? おおたわ:私には子供がいないので、子育てをしている人の本当の気持ちはわかりません。 ただ、誰にでも育てる適性が備わっているのかと問われたら、そんなことはないと思います。子どもを育てているお母さんは、やらなきゃいけないと思って、いろんな努力をしながら、あらゆる我慢をしながら、子育てしているのでしょう。お母さんたちはみんな偉いなぁ、と思いますよ。 私が母親を見てきて思うことは、どんな母親も正解なんてわからなくて、迷うのではないでしょうか。愛し方、育て方に正解はないし、何が正しかったのかはわからない。その人なりの正解を求めていく以外にないんだろうと思います。 それは逆に言えば、他人がとやかく言えることではないと思うんですよ。 そして、どんな母親でも、子供にとっては、その人がたったひとりの母親なんですよね。
母を見捨ててしまった罪悪感
<わたしは、母を見捨ててしまったことで、いまなお埋まらない心の空白にひとりでため息をつく日がある。母が死んで幾年も過ぎたいまですら、かつての苦しさを夢に見る夜がある。>(『母を捨てるということ』より) ――女子SPA!読者に多い30~40代は、自分と母親の価値観の違いに気付き、イライラやモヤモヤを抱えている人が多い年齢だと感じます。どうするのがいいと思いますか? おおたわ:母親が育ったときとは時代も変わっているので、価値観の違いはありますよね。 私も母にイライラして、ひどいことを言ってしまったり、きつく当たったりしてしまったことがあります。 でも、母が亡くなってからは「あんなことを言わなければよかった」とか「あのときもうちょっと優しくしてあげればよかった」とか、そういうことばかり思い出しますよ。何年たっても忘れられなくて、自分を責め続けることになる。 だから、親と程よく距離を取るのは重要ですよね。自分のためにも、後悔するようなことはしない方がいいのだと思います。