「非正規の図書館員、雇用継続を」日本図書館協会が地方自治体に要望 「会計年度任用職員問題」改善求める
公共図書館や学校図書館で働く会計年度任用職員(1年雇用の非正規職員)が増えている問題を受け、日本図書館協会(植松貞夫理事長)は12月13日、文部科学省で会見を開き、会計年度任用職員の雇用を継続するよう都道府県知事会や市町村会などに要望を送付したと発表した。 会計年度任用職員とは、1年任期で地方自治体に雇用される非正規雇用の公務員で、2020年から始まった制度。日本図書館協会によると、現在、公共図書館の職員の4割以上、学校図書館職員の9割以上がこの会計年度任用職員という。 当初、総務省のマニュアルには、公募試験をせずに再度の採用ができる回数を原則2回までとする「3年目公募」ルールが記載されており、2022年度末には各地で長年働いてきた図書館員の雇い止めが発生するなど、問題が指摘されていた。 しかし、総務省は今年6月、マニュアルを刷新して「3年目公募」ルールを削除した。これを受け、日本図書館協会では、来年度が制度導入から2巡目となる6年目を迎えることから、会計年度任用職員の雇い止めをしないよう求めた形だ。
●「実績ある職員は期間区切らず任用を」
要望では、総務省による新たなマニュアルを踏まえた運用を要望するとともに、次の3点を求めている。 (1)公共図書館・学校図書館の維持・充実・発展のためには、そこで働く職員の安定、継続 した雇用が不可欠です。総務省のマニュアルでは、「募集に当たって、任用の回数や年数の制限を設ける ことは避けるべき」とされています。 (2) 図書館職員の任用に当たっては、図書館職場で培われた知識と経験によって評価される ことが望ましいと考えます。 (3) 既に十分な勤務実績を積んでいる職員については、期限を区切っての雇用ではなく、か つ公募によらない雇用更新任用を求めます。 会見で植松理事長は、「全国3300館を越す公共図書館は、市民の生活にとってなくてはならぬものになっています。また学校図書館は児童生徒の成長にとって不可欠なものです」とした上で、今回の要望についてこう説明した。 「図書館職員には司書としての資格の上に経験によって培われた様々な知識と対応力が求められ、それが市民や児童生徒に対して良質なサービスを生み出す源にもなっています。そのような人材は地域や自治体にとっての貴重な財産であると言えます。 しかし、本来正規雇用であるべき職員の多くは非正規雇用となっています。少なくとも、非正規雇用の職員も安心して働ける環境が必要です」