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事業再生ADRを選択した上場企業

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帝国データバンク

 過剰債務に悩む企業の問題を解決するために2008年に運用が開始された、私的整理に位置づけられる事業再生ADR制度。私的整理と法的整理それぞれの利点を混ぜ合わせた融合型の再建手続きで、公正中立な第三者が債務者と債権者との間の調整を実施し、企業の早期事業再生に活用されている。  経済産業省によると、同制度は2019年3月までに239社の手続き利用申請があり、このうち199社で事業再生計画案に対し債権者全員の合意を得て成立。上場企業の利用も少なくない。  こうしたなか先月30日、東証1部上場のサンデンホールディングス(株)が関係会社とともに事業再生実務家協会に対し事業再生ADRを申請し、同日付で受理された。当社は新型コロナウイルス感染拡大の影響で海外工場の休業が発生。それに伴い売上にマイナスの影響が見込まれ、抜本的な改善策を講じる必要が生じ今回の措置となった。  倒産ではないとはいえ、上場企業の事業再生ADRは注目が集まりやすい。では、過去に事業再生ADRを申請した上場企業は何社あるのか。帝国データバンクはこれまで事業再生ADR手続きについて情報開示した上場企業を集計した。

業種では不動産業が最多

 2008年11月の運用開始以降、事業再生ADRの申請を公表した上場企業は22社判明。このうち、手続きが成立したのは18社、取下げたのは3社、協議中1社となっている。  申請から成立までの日数を平均すると122日となり、4カ月ほどで成立してきた(申請・成立日の両日が判明した企業のみ対象)。債権者会議は計3回実施され、会議の続会開催などで長期化するケースや、逆にスムーズに進み短期間で成立することもある。なお、申請から成立までの日数のうち最長は232日で、最短が57日となっている。また、申請を取下げた(株)日本航空・大和システム(株)・ワールド・ロジ(株)の3社は、いずれも法的整理に移行している。  業種別をみると、「不動産業」が6社で最多となり、次いで「製造業」が5社、「小売業」が2社となった。上場企業は製造業者が最も多く、不動産業者が最も少ないという構図のなかで、不動産業が最多なのは注目すべき点だろう。そのほか、2000年以降の上場企業倒産をみても不動産業が製造業に次ぐ多さとなっており、倒産する企業も、その一歩手前で事業再生ADRを利用する企業も不動産業が多いという特徴が分かった。

コロナの影響が広がる

 コロナ禍で業績が悪化しているのは、サンデンホールディングス(株)だけの話ではない。上場企業のなかでコロナの影響を受け業績予想を下方修正したのは6月末時点で843社判明しており、今後も増加することが予想される。  コロナ禍での業績悪化により、新たに事業再生ADRを選択する企業は今後も現れるのか。引き続き注視が必要だ。

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