KC-46、米軍から12機追加受注 空自向けも製造中
ボーイングは現地時間1月12日、米空軍から空中給油・輸送機KC-46A「ペガサス」を12機追加受注したと発表した。17億ドル(約1765億円)の契約で6回目の生産ロットとなり、これまでの契約と合わせると79機になった。 米空軍は2019年1月10日に、KC-46Aを初受領。最初の機体はカンザス州ウイチタのマッコーネル基地に配備された。これまでに42機を4つの基地へ引き渡している。 KC-46のプログラムが立ち上がったのは2011年2月24日で、最初の受注は2016年8月の初回ロット7機分と第2ロットの12機分だった。その後、2017年1月に15機分の第3ロット、2018年9月に18機分の第4ロット、2019年9月に15機分の第5ロットを契約している。ワシントン州シアトル近郊のエバレット工場で、米空軍向けは179機の製造を計画している。 KC-46Aは、旅客機の767-200ERを母機とした空中給油・輸送機。コックピットは787と同様15インチ・ディスプレイを装備している。エンジンは米プラット・アンド・ホイットニー(P&W)製PW4062で、最大離陸重量は41万5000ポンド、搭載燃料は21万2299ポンド。空中給油のほか、輸送機として人員や物資、負傷者を運べる。 給油方式は、米空軍機が採用するフライングブーム方式のほか、米海軍・海兵隊機のプローブ・アンド・ドローグ方式の2形式に対応。ブームはフライ・バイ・ワイヤ方式の最新型で、給油オペレーター席には24インチの高解像度3Dディスプレイが設置された。また、前部胴体上部には自らブーム方式で給油を受けられる給油口を備える。 地上旋回半径は39メートルで、標準的な幅45メートルの滑走路で180度旋回が可能。ボーイングでは、離島のように小規模な飛行場にも展開できるとしている。 航空自衛隊も導入計画を進めており、今年から引き渡しが始まる見通しで、エバレット工場で生産が続く。ボーイングは、2017年12月に防衛省から契約を獲得。空自は海外で初の顧客となった。2018年12月に2号機の、2020年10月に3号機と4号機の契約を結んでいる。6機を調達する計画で、鳥取県の美保基地への配備を予定している。 6機の内訳は、平成26年度から30年度(2014年4月から19年3月)を期間とする中期防衛力整備計画(26中期防)で、3機の整備計画に対して2機分の予算を取得。2018年12月に閣議決定した31中期防(2019年4月から23年3月)では、新たに4機分の予算を計上している。2019年1月に防衛省が公表した単価は、1機約249億円となっている。
Tadayuki YOSHIKAWA