育て光る才能(5月22日)
次代の作曲家を発掘し、育てる取り組みが福島市で始まった。市が初のコンクールを企画し、八月末まで吹奏楽用の曲を募っている。名誉市民の古関裕而さんの功績をたたえ、福島発の新たな音楽文化を全国に向けて発信する▼年齢や経験の有無を問わず、誰でも申し込める。今月九日の受け付け開始から二週間弱で、県内外から数件の問い合わせが寄せられているという。日本を代表する音楽家が楽譜を審査する。一位に選ばれれば、市内の学校などに楽譜が提供され、吹奏楽の定番曲として広く演奏される▼古関さんは数々の流行曲を世に送り出したが、当初、曲作りは苦手だったらしい。「船頭可愛いや」が大ヒットするまで、苦労の連続だった。青年時代にクラシック音楽を自力で学んだ。それ以降の長い作曲家人生の中で、対照的なジャンルを融合させて、今も支持される古関メロディーを生み出した▼音楽の世界で身を立てるには、賞を獲得するのが近道と言われる。古関さんも若い頃、英国の国際コンクールで賞を受け、光が当たった。産みの苦しみを乗り越え、輝く栄冠を目指して挑んでほしい。そんな皆さんに、偉人の古里からエールを送る。