秋田のスーパーに居座ったクマは“生粋の都会育ち”か…専門家が明かすアーバンベアの進化 「山から下りてきた」のではなく「そもそも街で暮らしている」可能性
秋田市の海岸部でもクマは常在化
「昨年の冬、秋田県や福島県などでは母グマと子グマが一緒に行動している姿が相当数、目撃されました。母グマは捕獲、駆除されたのですが、かなりの子グマが残されたようです。赤ん坊グマは母グマを見失ったところで母グマを待つ習性があり、東北各地で昨年の初冬期に体長50センチの子グマが出没し続けたのです。今年の春に各地の都市部郊外で50センチのクマが目撃されたのは、そのためです。このような状態から近年、秋田市の郊外では若いクマが常在するようになり、いわゆる北海道で言う『アーバンベアー』のような都市型のクマが増えています。こういうクマは広島県や島根県では80年代から普通に見られました」(同・米田氏) テレビ局など一部の報道機関はスーパーの西側は海が近いためクマは棲息できず、東側は森までの最短距離が数キロあると解説、スーパーの付近はクマが出没するような場所ではないと指摘した。だが、これも事実とは異なる。 初夏に若いオスグマが大移動することがあるが、基本、夏に見たクマは、その近くで生まれており、その場所が故郷だ。この夏、秋田市から潟上市にかけて多数のクマが目撃されており、もはや海岸部も常在化しているという。
スーパーの北部で越冬した可能性
「秋田市の湾岸地帯は木が生い茂っている場所があり、クマは頻繁に発見されています。またスーパーの北側には県立博物館があり、この周辺は自然が豊富です。子グマなら人に見つからず、越冬も可能でしょう。つまり母グマとはぐれた子グマが博物館周辺など市内で年を越し、秋になって天王地区で果樹などを食べた可能性が指摘できます。そしてクマが『森に帰ろう』と判断するのは気温の低下を感じ取ってからです。今回の秋田市のスーパーに侵入したクマは、9月から秋田市北西部の金足地区、天王地区で多数目撃されており、11月末から悪天候、具体的には平野部が積雪に覆われる前に東側に連なる大平山系に向かって移動を始めたのですが、車や交通体系に阻まれて移動できなくなり、南側に見える高清水公園を目指したと思われます」(同・米田氏) 東に向かうべきところを間違って南下し、スーパーを見つけて店内に入ってしまったということのようだ。