奄美からきた「二匹目のドジョウ」 東海大相模の求 選抜高校野球
第93回選抜高校野球大会は第7日の26日、兵庫県西宮市の阪神甲子園球場で2回戦が行われ、東海大相模(神奈川)が鳥取城北に1―0で競り勝ち、8強進出を決めた。 「二匹目のドジョウ」がいた。東海大相模は1回戦で急なベンチ入りで好投した石川に続き、昨秋公式戦で登板がなかった求が初先発。平野恵一・阪神コーチのおいで、奄美大島の豊かな自然の中で育った右腕は4回無失点と好投し、チームの勝利を引き寄せた。 「甲子園は初めてなので緊張した」。一回は左打者への制球が定まらず、2番・中木村に四球、続く畑中に左前打を許し、1死一、二塁とピンチを招いた。後続の右打者2人を退けると、二回からはプレートの位置を一塁寄りの端からやや中央寄りにずらし、徐々に安定感を取り戻した。 そこからは、捕手の小島が「球のキレ、伸びがあった」と絶賛した直球で相手打線を抑え込む。実績こそないが「前日のシート打撃で良かったので、(先発を)決めた」という門馬監督の狙いが、またも当たった。 小学校まで「きれいなところ。ぜひ来ていただきたい」とお勧めする奄美大島で過ごしたが、「もっとすごい選手たちと野球がしたい」と中学から神奈川県に移り住んだ。 慣れ親しんだ奄美の方言で一人称の「私」は「わん」と呼ぶが、「分かってもらえないと思ったので、『自分』と言い換えていた」と溶け込もうと努力した。川崎中央シニア時代は日本代表に選ばれ米国遠征にも参加するなど成長。強豪・東海大相模に進んだ。 一番の思い出は、叔父の平野コーチから初めて野球の手ほどきを受けた時という。左手にはめるグラブは、叔父からプレゼントされたものだ。「甲子園はすごいところ。プレーできて感謝。(叔父の平野コーチには)ぜったい優勝するぞ、と伝えたい」と力強く語った。【岸本悠】 ◇全31試合を動画中継 公式サイト「センバツLIVE!」では、大会期間中、全31試合を中継します(https://mainichi.jp/koshien/senbatsu/2021)。また、「スポーツナビ」(https://baseball.yahoo.co.jp/senbatsu/)でも展開します。