業績の上方修正相次ぐ。自動車・ロボット・5G・巣ごもり…製造業は回復顕著に
2021年3月期業績予想を上方修正する企業が相次いでいる。中国をはじめ、自動車生産の回復が追い風となり、部品や素材など幅広い業種で業況が改善。第5世代通信(5G)などデジタル化の進展で半導体関連需要も旺盛だ。新型コロナウイルス感染の収束が見通せない中、ゲームや家電など“巣ごもり消費”も活況が続く。 【考察・東芝】「日本の総合電機は日立と三菱電機の2社になる」
東海理化やフタバ産業、愛三工業、大豊工業、中央発條、ファインシンターのトヨタ自動車系中堅部品メーカー6社は21年3月期に営業黒字を確保する。「トヨタの回復ペースが早い」(東海理化の篭橋栄治経理部長)とトヨタの生産回復が追い風だ。各社が取り組んできた原価低減の成果もある。 住友電気工業は、自動車用ワイヤハーネス(組み電線)などの売り上げが想定を上回ったほか、コスト削減効果もあった。主力の車向けで「自動車メーカーが年度前半の生産減少を取り戻す動きが現れた」(住友電工)ことで、20年10―12月期連結の売上高と営業利益も過去最高となった。 総合化学各社も、自動車用途の需要や市況の回復が想定を上回り、三菱ケミカルホールディングス(HD)や東ソー、三菱ガス化学が見通しを上方修正した。三菱ケミカルHDが世界トップシェアを持つメタクリル酸メチル(MMA)の価格が、20年7―9月のトン当たり1371ドルから同10―12月は同1589ドルに上昇した。 ファナックは電気自動車(EV)を含む自動車向け産業用ロボットの引き合いが米州や中国で増加する。溶接や塗装など車体周りはエンジン車と同様にロボット需要があるほか、バッテリーやモーターの組み立てにロボットを使う流れもあり全体的な需要は「増える可能性がある」(山口賢治社長)とみる。 国際線旅客便の運休・減便を受けて、スペース不足の国際航空貨物は運賃が高騰している。自動車関連などの空輸需要は旺盛だ。日本通運は航空フォワーディング(利用運送)の取り扱いが前年を超える水準で推移し、業績を上方修正した。