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[寄稿]中国が新冷戦を避ける道

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ハンギョレ新聞

中国は米国を凌駕する道徳的リーダーシップで、世界の人々の心をつかむことはできるのだろうか。THAAD(高高度防衛ミサイル)問題で韓国に示した態度、南シナ海での行動、コロナ禍以降人口に膾炙する「戦狼外交」など、振り返ってみると、中国の外交は王道ではなく、覇道と強権に近いものに見える。  「共産党独裁が人民を抑圧する国」、「覇権への野望で世界を脅かす国」、「新型コロナウイルスを全世界に広げた国」、「不公正貿易で産業技術を盗んで米国でスパイ活動をする国」、「香港市民の自由とチベット・ウイグルの少数民族の権益を抑圧する独裁国家」、「軍事力増強を通じて世界平和と南シナ海・東シナ海での海路の安全を脅かす国」。マイケル・ポンペオ米国務長官が7月23日、ニクソン記念館で行った演説の要旨だ。  8月24日、中国共産党機関紙「人民日報」がポンペオ長官の批判を26項目に分けて反論した。「中国共産党は人民のための中国の特色ある民主主義に忠実である」、「中国は反覇権主義を外交政策の基本規範とし、国際秩序を誠実に守っている」、「新型コロナウイルスに関するすべての情報を透明に公開し、その克服のノウハウを国際社会と共有している」、「不公正貿易に対する米国の要求を受け入れ、革新と研究開発(R&D)投資で米国と競争している。産業スパイ行為というのは事実無根だ」、「香港の国家安全維持法は内政問題で、分離主義者や外勢と結託し、国基を揺さぶる人たちのみ適用される。また、ウイグルの政治犯収容所は潜在的テロ分子らに対する精神及び職業訓練場所だ」、「中国の軍事力は米国に比べて劣勢であり、南シナ海と東シナ海で海路安全を国際法に基づいて完全に保障する」。要するに、ポンペオ長官の発言はすべて虚偽という主張だ。  「人民日報」はこの反論が客観的な事実と欧米の学者や論客たちの主張に基づいていると述べた。しかし、中国の立場を額面どおりには受け入れられない3つの理由がある。  まず、中国政府の戦略的曖昧性と混乱だ。習近平主席は就任後、全人類とともに繁栄する「和平発展」と人類運命共同体、米国に言うべきことは言いながら協力と競争をするという「新型大国関係論」、周辺国と親善、誠意、互恵、そして包容関係を維持するという「親・誠・恵・容」政策、そしてアジア諸国と協力、包括、共同、持続可能な安保を模索するという「新アジア安全保障」構想などを提示した。  しかし、中国は最近、和平発展に相反する「大国崛起」を追求しており、人類運命共同体を標榜する「一帯一路」構想も新帝国主義という非難を浴びている。「親・誠・恵・容」とは裏腹に、周辺国との紛争が絶えないうえ、アジア国家の期待を集めた「新アジア安全保障」は、形骸化して久しい。残ったのは「新型大国関係論」だけだ。このような戦略的曖昧性と混乱が周辺国の信頼を損ねている。  次に、ホワイトハウスの「アメリカファースト」政策で米国の国際的地位が大きく損なわれたことを受け、中国では道徳的リーダーシップに対する議論が活発に行われている。例えば、清華大学の閻学通教授は、荀子を引用し、世の中には3つのリーダーシップがあるという。徳治で人と天下を取る王道、政治力と武力を通じて天下の一部を得る覇道、強圧で諸侯国一つ程度を強奪する強権の3つだ。閻教授は、中国が米国に勝つためには王道を歩まなければならないと主張する。  大規模な開発援助と最近の新型コロナ防疫の成功で、中国の国際的地位が改善したのは事実だ。しかし、果たして中国は米国を凌駕する道徳的リーダーシップを発揮して、世界の人々の心をつかむことができるのだろうか。THAAD(高高度防衛ミサイル)問題で韓国に示した態度、南シナ海での行動、コロナ禍以降人口に膾炙する「戦狼(せんろう)外交」など、振り返ってみると、中国外交は王道ではなく覇道と強権に近いものに見える。  最後に、中国例外主義の問題だ。米国も例外主義を掲げているが、自由や民主主義、人権という普遍主義でこれを正当化しようと努めてきた。一方、中国の例外主義には、説得力のある普遍的な要素がない。文明国家や中国の特色ある社会主義、中国の特色ある民主主義という特殊性だけが強調される。中国が普通の国なら問題にならないだろう。しかし、世界を主導するリーダー国になるためには、2つのうち1つを選ばなければならない。中国の特殊性を全世界に伝えて世界標準にするか、さもなければ中国の特殊性と普遍性を折衷しなければならない。前者の場合、「中国モデルによる世界支配」という反発が激しくなりかねない。結局、可能なのは後者の道しかない。中国指導部の柔軟性と変容性が求められる。  中国が、米国との新冷戦を避け、尊敬される大国になるためには、国家戦略の方向性を明確にしなければならない。和平発展路線に忠実で、王道を行動で示し、中国的特殊性と世界的普遍性を調和させてこそ可能なことだ。 ムン・ジョンイン|延世大学名誉特任教授 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)

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