「たぶん18回目」で合格の苦労人、室井新調教師の亡父は宇都宮競馬の名調教師
2025年度JRA新規調教師の合格発表が5日に行われ、美浦と栗東で計9人が吉報を受けた。 【写真】合格し笑顔でガッツポーズする室井潔(右) 美浦の室井潔助手(49=大和田)は「たぶん18回目」の受験で悲願をかなえた苦労人。「何度も気持ちが切れそうになったけれど、やめるにためられない。他にやりたい仕事もない。2次に進めたのは5年ぶり6回目ぐらい。高校野球みたいですよね」と笑う。10年前に亡くなったという父は宇都宮競馬(2006年閉場)の室井康雄調教師で、63戦43勝のブライアンズロマンやNAR年度代表馬ベラミロードを育てた名伯楽だ。「父が中山の交流競走に馬を連れていく時についていき、大きな競馬場に感動しました。ベラミロードのユニコーンSには一緒に馬運車に乗って馬を引きました。父は自分がこの仕事に就いたことがうれしかったようですし、受かった姿を見せたかった」としみじみ語った。 トレセン勤務は03年からで、最初に所属した厩舎の清水美波師から掛けられた言葉は今でも覚えている。「お前がこの厩舎に来て良かったなと思えるように頑張る。だから俺や厩舎のみんなに、そう思ってもらえるように頑張れ」。イングランディーレの天皇賞・春など重賞7勝を挙げた調教師に目をかけられ、励みになった。 「年齢も50近いので数字の目標はありませんが、従業員が仕事に出る時に、頑張って馬に対して前向きになれるような環境をつくりたい。1つ1つ、1つ上の勝ち星を目指して、それぞれの馬に全力で向き合いたい」。調教師の定年は70歳。限られた年月で完全燃焼する。きっとブライアンズロマンやベラミロードのように記憶に残る馬を送り出してくれるだろう。【岡山俊明】 ◆室井潔(むろい・きよし)1975年(昭50)7月23日(2)49歳(3)美浦・大和田(4)18回(5)父が宇都宮で調教師をしていて、中山に馬を連れていった時に大きな競馬場に感動(6)1つ1つ上の勝ち星を目指す(7)従業員が朝仕事に出る時に前向きになれる環境づくり。 新調教師略歴の項目(1)生年月日(2)年齢(3)所属(4)受験回数(5)志望動機(6)目標(7)抱負