「日本の政治家」が「中国共産党」に圧倒的に負けているポイントがあった…その「深刻な現状」
世襲や官僚議員の全てが悪いわけではないが…
与党を中心に、世襲議員や官僚出身議員が議席の多くを占めています。もちろん世襲や官僚出身がすべて悪いとは言えませんが、こうした属性を持つ人々は得てして「変化にドラスティックに対応するよりも、今日と同じ明日が来ることだけを考える」傾向になりがちです。なぜなら、その方が自身の議席や地盤、人脈を守りやすいからです。 そうした世襲や官僚出身者が悪人なのではなく(多くの有能な世襲議員、官僚出身議員がいらっしゃることも十分に理解しています)、世襲や官僚出身を偏重せざるを得ない縁故門閥主義と、選挙のためにそれを変えることができない政党組織慣性が問題なのです。結果として、政党から公認を得る過程に「競争原理」という最も効率的で合理的な資源配分をするルールが導入されることが阻害されることになります。
自由主義・競争原理を蔑ろにしてはいけない
複数の世襲議員は有能ですが、「もっと有能かもしれない」人物が公認選抜の自由競争を経て政治家になる可能性を潰しているのです。ましてや、日本は自由主義を標榜しており、普通選挙を導入していない中国と対峙し、彼らを「普通選挙のない、統治体制を異にする非同志国家」と批判している立場なわけですから、我々自身が自由主義・競争原理を蔑ろにしては元も子もないのです。 また一部の典型的な官僚出身者は、枠組みを作ること、決まった枠組みの中で何ができるか、を考えることには長けていますが、既存の物事の仕切りを取っ払って対処しなければならないものへの挑戦がしづらいというネガティブな習性があると言われます。官僚時代に叩き込まれた「省益優先」や「縦割り」「予算主義」などから発想を変えるのが困難だからです。 時代の流れが急速に進んでいる場合、極めて感度の高い嗅覚が必要です。効果的な政策を打つ際には、「これをやらなければ私と家族の生存が脅かされる」というほどの超ミクロに自己還元した危機感が必要なのかもしれません。そして、それが逆流して、ひいては国益のための危機感につながっていけば健全でしょう。
中川 コージ(管理学博士(経営学博士)・インド政府立IIMインド管理大学ラクナウノイダ公共政策センターフェロー)