アメリカ大統領選最終盤、勝敗決める激戦州はどんな場所? 争点をおさらい、ホワイトハウスの主になるのは誰だ
州都アトランタにコカ・コーラなどグローバル企業の本拠地が集積する一方、ジョージア州はキリスト教福音派が多い保守的な側面がある。ジョージア州では2022年7月、妊娠約6週より後の中絶を禁じる州法が発効した。厳格な規制のため、流産の医療措置が必要な場合でも拒否する病院があり、母胎が危険にさらされ、死亡するケースが後を絶たない。双子を妊娠し、うち1人を流産した可能性が高まった際に、中絶規制を理由に必要な医療措置を受けられなかったジュリア・カラハンさん(26)は「中絶は女性の権利。規制があるから必要な妊婦検診を受けられずに母親の命が危険にさらされ、死亡する危機が生じている」と訴え、権利擁護を訴えるハリス氏を支持する。「妊婦にとって安全な州法ができるまでは、もう子どもを産むつもりはない」 (5)南部アリゾナ州(選挙人11人) 大リーグの大谷翔平選手が所属するドジャースのキャンプ地があるアリゾナはメキシコと国境を接する。そのアリゾナでは2024年1~8月、税関・国境警備局が不法越境者25万人以上を摘発した。不法移民を運ぶ車を追う捜査車両のサイレンは日常の一部という。イボンヌ・メイヤーさん(81)は、自衛のため自宅玄関に拳銃を置く。国境を巡る混乱を解消してくれると信じ、トランプ氏に1票を託す。一方、同州ダグラスで長く国境警備隊員を務めたロバート・ビクターさん(56)は、移民の大規模強制送還を掲げるトランプ氏はアメリカが必要とする労働力も排除しかねないと感じる。バランスの取れた移民政策を望み、ハリス氏に投票するつもりだ。
(6)南部ノースカロライナ州(選挙人16人) ノースカロライナはライト兄弟が1903年、初飛行に成功した場所として知られる。トヨタ自動車が車載用電池工場を建設中で、岸田文雄前首相が2024年4月の訪米の際に視察した。この年の9月末に来襲したハリケーン「ヘリーン」で甚大な被害を出した。トランプ氏は被災地支援が共和党に不利になるように進められ、災害支援金が不法移民のために使われたなどと虚偽の主張を繰り返した。ハリス氏はハリケーンを巡る偽情報が流布され、支援活動が妨げられていると批判するなど、最終盤で被災対応が新たな争点として浮上した。 (7)西部ネバダ州(選挙人6人) ネバダといえば、ラスベガスだ。2008年以降の大統領選では民主党が勝利しているが、両党候補の差は縮まっており、前回はバイデン氏が2・4ポイント差で競り勝った。最近の世論調査でハリス氏が約1ポイント上回る程度で、接戦が続く。注目は「チップ課税撤廃」政策だ。トランプ氏は、観光業が盛んで接客業の従事者が多いラスベガスで、チップ収入に対する課税を撤廃する案を打ち出した。ハリス氏も追随。両陣営は支持獲得につなげようとしている。