アメリカ大統領選最終盤、勝敗決める激戦州はどんな場所? 争点をおさらい、ホワイトハウスの主になるのは誰だ
(2)中西部ミシガン州(選挙人15人) 四つの湖に囲まれたミシガンには、自動車産業の中心地として知られるデトロイトがある。これまでの大統領選とは違い、今回は中東情勢が重要争点となっている。州人口のうち全米で最も高い割合の2%をアラブ系住民が占め、イスラエルによるパレスチナ自治区ガザへの攻撃やレバノン空爆で家族や友人を失った人も多い。イスラエルへの軍事支援を続けるバイデン政権への怒りが広がり、以前は民主党寄りだった有権者も「ハリス氏にもトランプ氏にも投票しない」と話す。 (3)中西部ウィスコンシン州(選挙人10人) 酪農やビール醸造が有名なウィスコンシンは、2020年に民主党バイデン大統領が勝利したが、トランプ氏との得票率の差は0・63ポイントだった。ハリス氏とトランプ氏への支持が拮抗する地域では住民同士が対立し「俺は民主党支持者に囲まれている」と警戒心をあらわにし、近隣を見渡す高齢男性もいた。最大都市ミルウォーキーの近郊でトランプ氏を支援する70代の女性は「昔は誰も自宅に鍵を掛けなかった」と話し、治安悪化はバイデン政権の移民政策の失敗が原因だと批判する。一方、元教師でLGBTQなど性的少数者を支援する団体のアビゲール・スウェッツ事務局長(42)はバイデン政権下で進んだ少数者の権利擁護政策は「トランプ氏が再び大統領になれば大きく後退するだろう」と懸念した。
▽温暖なサンベルト、焦点は移民と中絶 残りの激戦州四つは南東部から南西部にかけての温暖地域サンベルトにある。両陣営が支持獲得で焦点としているのは、世論が真っ二つに割れる人工妊娠中絶の権利とメキシコとの南部国境から押し寄せる不法移民への対応だ。 中絶を憲法上の権利と認めた1973年の「ロー対ウェード」判決は、2022年6月、最高裁によって覆された。トランプ氏が大統領在任中に最高裁に保守派の判事3人を送り込み、判事9人のうち保守派が6人となったことが背景にある。 バイデン政権下では、アメリカでの滞在許可を得ないまま南部国境を超える移民希望者が急増した。多くは出身国の政情不安や治安悪化により、アメリカに移り住むことを希望して押し寄せてくる。警備をかいくぐって秘密裏に入国するため不法移民と呼ばれる。トランプ氏は「不法移民は暴徒や犯罪者」として、大量の強制送還を約束している。 (4)南部ジョージア州(選挙人16人)