米専門家「韓国の戒厳とシリアの独裁崩壊、朝ロ協力強化につながりそう」
韓国の非常戒厳とシリアの独裁崩壊が北朝鮮とロシアの軍事密着加速化の契機になりかねないという分析が出てきた。韓国の戒厳事態が衝撃を与えた上に、北朝鮮の同盟だったシリアの独裁政権まで崩壊し、北朝鮮が感じる不確実性が増幅されたためだ。不安になった北朝鮮がロシアとの軍事協力を優先視するだろうという見通しだ。 米シンクタンク、スティムソンセンターの北朝鮮専門家マイケル・メデン氏は10日、米国の北朝鮮専門メディア「38ノース」への寄稿で、「韓国の非常戒厳事態はシリアのアサド政権の崩壊と結びつき北朝鮮に二重の地政学的挑戦を提起した」と分析した。寄稿は「こうした挑戦は金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長にロシアとの軍事協力を優先視させる恐れがある」と指摘した。 メデン氏は韓国の非常戒厳事態とシリアの内戦終息が北朝鮮の立場では「二重の衝撃」だっただろうと予想した。彼は「北朝鮮はシリア政権の崩壊を予想して非常対応計画を立てていたかもしれないが、そのスピードまでは予測できなかっただろう。尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の戒厳宣布は完全に予想外だっただろう」と分析した。その上で、非常戒厳事態以後しばらく北朝鮮が沈黙した点に注目した。 実際に労働新聞は先月中旬から尹大統領非難集会のニュースなどを毎日報道していたが、戒厳直後の4日に尹大統領非難声明と集会のニュースを伝えてからは関連報道をしていなかった。その後1週間が過ぎた11日に非難攻勢を再開した。 朝鮮中央通信は11日、「深刻な統治危機、弾劾危機に置かれた尹錫悦傀儡が不正に非常戒厳令を宣布しファッショ独裁の銃刀を国民にためらいなく突きつける衝撃的な事件が起き、傀儡韓国全土を阿鼻叫喚に陥れた」と伝えた。この記事は北朝鮮住民が見ることができる労働新聞にも掲載された。 メデン氏は「金正恩氏は(尹大統領の戒厳宣布後)軍事的行動を通じて域内状況を悪化させたり、労働新聞などを活用した宣伝活動を行うこともできたがそうしなかった」と指摘した。戒厳自体が予測範囲を完全に抜け出す異例の状況だったため北朝鮮が慎重に反応したということだ。また「尹大統領が戒厳宣布談話文で『北朝鮮共産勢力』『反国家勢力』などと言及した。これにより平壌(ピョンヤン)は警戒心を持った可能性が大きい」との見方を示した。 メデン氏は、北朝鮮が韓国の戒厳関連対策をまとめた時に、8日にシリアで反政府軍が勝利してアサド政権が崩壊し新たな不確実性が加わったと評した。彼は「近い同盟国でありいくつもない世襲独裁政権(シリア)が崩壊し、韓国では政治的転換の芽が出て金正恩政権は極めて特別な意志決定環境に置かれた」と分析した。 続けて「北朝鮮はこうした状況でロシアを説得し技術交流や防衛産業協力を加速することにより武器システムの革新と拡大を試みるかもしれない。また、年末の労働党中央委員会全員会議の議題の焦点を国家安全保障に集中させるかもしれない」と付け加えた。