【実業団駅伝】筑波大卒1年目、金丸逸樹(戸上電機製作所)がエース区間で見せた成長の証し
今年のニューイヤー駅伝、エース区間の4区で11人抜きの好走を見せたルーキーがいた。筑波大出身の金丸逸樹(戸上電機製作所)。1年前の箱根駅伝での悔しさを晴らす好走だった。 写真=1年前の箱根駅伝は2区区間19位。その反省を生かし、今年のニューイヤー駅伝の走りにつなげた 写真/黒崎雅久(陸上競技マガジン)
1年前の箱根の反省生かしエース区間で11人抜き
大卒ルーキーに有望選手が多数いた今年のニューイヤー駅伝(全日本実業団駅伝)だったが、最長区間の4区(22.4km)でルーキー最上位を占めたのは、ノーマークの金丸逸樹(戸上電機製作所)だった。同区では14人抜きで区間賞を獲得した34歳の佐藤悠基(SGホールディングスグループ)に注目が集まったが、金丸も1時間05分05秒で区間9位。32番手でタスキを受けてからの11人抜きは「攻めたレースをした結果」だった。 「2分57秒(1km)ペースで走りきれば1時間06分05秒になります。チームの目標が29位以内だったので(最終結果は32位)、自分も区間29位以内なら合格点だと思っていました。しかし少し前にいた集団に追い付いて最初の1kmを2分45秒で入ったら、そのペースが楽に感じられたんです。予定より速いペースで押し切れる。結果的に2分54秒3のペースになりましたが、挑戦してみました」 前にいる選手(集団)を追い上げ、追い付いたら少し並走した後に引き離す、という走り方ではなかった。「(抜くときも)一定のペースで淡々と走り続けた」ことが、11人抜きという結果になった。 それだけ良い状態でニューイヤー駅伝に臨めていたことが好走の要因だが、1年前の悔しさがその背景にあった。1年目の箱根駅伝、金丸は26年ぶりの本戦復帰を果たした筑波大のエースとして注目されるなか、個人成績は各校のエースが集う2区で区間19位(1時間09分24秒)。予選会ではチームトップの13位と好走したが、本戦では全く力を発揮できなかった。
「設定を1時間09分30秒にしたのがよくありませんでした。走り始めて余裕があったのに、そのペースを守ってしまったんです。走り終わってもう少し力を出せたと感じました。不完全燃焼でしたね」 その反省が1年後のニューイヤー駅伝に生かされたことになる。