今オフのFA戦線に異常あり?!糸井、陽、平田、大島、岸らはどこへ?
また投手では、3年の複数年契約が切れる西武の岸孝之(31)、横浜DeNAの山口俊(29)の2人に注目が集まっている。岸に熱心なのが楽天。宮城県仙台の出身で宮城県名取北高、東北学院大でプレーしてきた地元出身で、先発陣のテコ入れが急務の楽天にとっては、喉から手が出るほど欲しい投手だ。 また横浜DeNAの山口も、今季11勝5敗、防御率2.86と初の2桁勝利に乗せ、大補強に乗り出している巨人にとっては魅力のある存在。一説によると、当初、山口と同時に岸の調査に動いていた巨人が、岸に関しては楽天濃厚の気配を察知して、山口1本に切り替えているとも言われる。 しかし、来季新体制で再建に臨む西武は、岸に再び複数年を持ちかける考えで、初のクライマックスシリーズ進出が見えてきた横浜DeNAも、池田社長が、「もう出ていかれる球団ではなくなってきた」というほどの引き止め条件を用意している。この2人に関しては所属球団の残留交渉も鍵を握りそうだ。 昨年オフのFA移籍は4人だった。ロッテから楽天へ移った今江敏晃(33)、中日から阪神へ、中継ぎ左腕、高橋聡文(33)、西武から巨人へ出戻りの脇谷亮太(33)、そして広島の木村昇吾(36)はFA宣言したものの移籍先がみつからず、結局、テスト生という形で西武へ。一番の大型移籍となった今江は、キャンプイン前に故障で出遅れ、途中、不振で2軍落ちするなど苦しんだ。阪神の高橋が53試合登板、19ホールドと中継ぎ陣を救う活躍を見せて、成功の部類には入るだろうが、防御率3.79はいただけない。FA補強を成功させることの難しさを改めて知らしめてしまった。 自前の選手を育てることで優勝を手にした広島に比べると、FA補強には球団にも移籍を決断する選手にとっても大きなリスクを伴うが、チームとファンに勝利の期待感を高めるための醍醐味があるのも事実。またチームが刺激を受けて変革のきっかけをつかむ場合もある。 FAの有資格選手は、日本シリーズ終了した翌日から7日間以内がFAの行使期限。NPBにFA宣言選手として公示された翌日から全球団との契約交渉がスタートすることになる。およそ1か月半先の期限まで水面下での熾烈な情報戦が熱を帯びることになる。 (文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)