今オフのFA戦線に異常あり?!糸井、陽、平田、大島、岸らはどこへ?
セ・リーグは広島が優勝を決め、パ・リーグは優勝争いが熾烈だが、クライマックスシリーズ出場チームもほぼ見えてきた状況となり、早くも水面下でストーブリーグがスタートしている。各球団の補強は、新外国人、ドラフト、FAの3本柱だが、今オフは別表のようにそのFA市場が活発化している。とくに昨年オフは、賭博問題などで大型補強を“自粛”していた巨人が積極姿勢を打ち出していることが、昨年と違い活況という異変を生み出している原因と考えられている。 目玉は、オリックスの糸井嘉男(35)だろう。昨年は大スランプに陥っていたが、今季は肉体改造に成功して見事に復調。13日は日ハムの大谷翔平の164kmの日本最速球をタイムリーで打ち返し、15日の日ハム戦ではプロ初の1試合3本塁打を記録するなど、上位チームいじめは存在感を示している。盗塁51個も立派。年齢面での不安は一切ない。巨人、ソフトバンクの資金力に余裕のある2チームが、すでに調査に乗り出している。 シーズン中には、糸井の移籍先として、ソフトバンク最有力の情報が流れていたが、ここにきてソフトバンクが狙っているのは、糸井ではなく日ハムの陽岱鋼(29)という情報も漏れてきた。 台湾出身の陽だが、高校時代は九州の福岡第一高校で過ごし、2005年のドラフトではソフトバンクに1位指名された。クジを外して日ハムに取られたという経緯があり、陽自身も福岡という街には愛着があり、現在、家族が暮らしている台湾とも札幌より距離的に近いという利点がある。 柳田の故障で痛い目を見たソフトバンクにしてみれば陽は魅力だろう。 だが、その一方で、ある代理人はこんな話をしていた。 「陽は、まずメジャー移籍を考えていると聞いています。ポスティング移籍となるので、額は大きくないでしょうが、チームにとってはFAで出ていかれるよりメリットがあるでしょう。攻走守の3拍子がそろっている選手なのでメジャー契約も取れるんじゃないでしょうか」 元々、陽は、将来のメジャー移籍の夢をずっと語っていた。しかも、ソフトバンクでプレーしていた兄の陽耀勲投手が、メジャー挑戦を経験していてルートも問題がない。 糸井、陽と共に動きそうなのが中日の平田良介(28)、大島洋平(30)の2人だ。 2人共に、落合GMとの契約更改で、これまで納得のいかない“遺恨”を残してきた。その落合GMの支配力が衰えず谷繁監督が途中解任された現状を目の当たりに見ているだけに、なおさら条件次第ではFA行使に躊躇はないと見られている。 大島は、15日、中日の条件次第ではFA宣言する可能性があることをメディアにほのめかした。平田は、楽天の松井稼頭夫と同じ代理人と契約。FA移籍への窓口も作った。 両者に関してはV奪回へ本気のヤクルトが興味を示している。今季はオリックスから移籍した坂口智隆が打率.296、71得点の大活躍をして課題だったセンターのポジションを埋めてくれたが、途中、外野では雄平、内野では畠山、川端が故障離脱すると一気に戦力ダウンするなど、野手の選手層の薄さを露呈した。投手力強化が一番のテーマではあるが、野手の強化にも本気だ。