「老後に趣味がないと不幸」と言う人は無視しなさい 認知症が専門の医師が進言する「本当に幸せな老後」
つまり、「何をしていいのかわからない」という人は、選択の自由を持っているということです。 昼食を食べたくなければ、食べなくてもいい。いつ食べてもいいし、何を食べるか自分で決めていい。こうした選択の自由は、じつは非常に大切なものです。 介護を受けている人は、時間が来れば食事が出てくるので、食べないという選択肢がほとんどありません。 自分で毎日何もかも決めていかねばならないというのは、面倒に感じますが、最高の自由であり、非常に幸福なことなのです。
■「趣味がない」=「孤独」ではない 「充実した老後」というのはよく耳にしますが、それらはすべて幻想です。メディアが作りだしたイメージです。 老後を迎え、現役時代にはできなかったたくさんの趣味に手を出して「充実した人生を送ってますよ」という人を、私はほとんど見たことがありません。 もちろん、趣味を楽しんでいる人もいるでしょう。しかしそれによって、本当に充実して満足した老後を過ごしているかといえばそうではないでしょう。無理しているだけかもしれません。
その一方で、「無趣味なので何をしていいのかわからない」という言い方をする人もいます。 ですが、むしろそのほうが自然でしょう。実際に、無趣味で何もしていない人のほうが多いのです。 あるいは、無趣味というほどではないにしても、趣味に入れ込むようなことはなく、ただ普通に日常を過ごしているだけという人がほとんどではないでしょうか。 つまり、趣味を楽しむわけでもなく、淡々と日常を生きているというのが、多くの人にとっての老後なのです。
趣味も持たない高齢者がたった1人で住んでいると、「それは孤独で寂しいことだ」と決めつけられてしまいがちです。 しかし、そんなこともないのです。何もしない1人の時間を自由に謳歌できる、逆にそれこそが充実した老後の人生の送り方なのです。 趣味などなくても、日々、普通に過ぎていきます。 周囲からやたらに「何か特別な趣味をしなさい」と言われても気にしないことです。 ■「認知症」の予防にいいこと 人は外に出かけて移動することで、新しい体験をしていきます。移動距離が長いほど幸福度が高いという研究もあるそうです。