J3・FC大阪が本拠地撤退の危機、「新スタジアム完成しないなら」…東大阪市とペナルティー付き協定締結へ
サッカーJ3・FC大阪が将来、ホームスタジアム(本拠地)の大阪・花園ラグビー場を使えなくなる可能性が出ている。5000席以上の新スタジアム建設を条件に、所有者の東大阪市から暫定的に使用を認めてもらっているが、その約束を果たしていないためだ。両者は「完成しない時は本拠地撤退」という異例のペナルティー付き協定を近く結ぶ方針だ。(梨木美花) 【図表】東大阪市とFC大阪の花園ラグビー場を巡る経緯
チームから寄贈提案
ラグビーの聖地と呼ばれる「花園」には、第1グラウンド(約2万7000席)と第2グラウンド(約1300席)がある。第1は全国高校ラグビー決勝の舞台として名勝負が繰り広げられ、第2は1、2回戦などで使われてきた。FC大阪は現在、第1を本拠地として使用している。
市は2019年ラグビーワールドカップに合わせて第1を改修。老朽化で観客席の一部が使用不能になっている第2については、FC大阪が19年11月、「J3の試合で使用できる観客席5000席以上の新スタジアムを第2に建設して寄贈する」と市に提案。協定を結んで寄贈を約束した。スポーツによる地域振興を目指す市にとって、ありがたい提案だった。
構想は事実上破綻
当時、FC大阪はJ3昇格前。観客席数などJリーグの基準を満たす本拠地確保を目指しており、新スタジアム建設後の第2を本拠地にするため、21年末までに完成させるはずだった。しかし、工法などについて市とFC大阪の間で協議がまとまらず、寄贈を提案したFC大阪の経営者が21年に急逝。資金確保も難航し、工事は始まらなかった。
一方、FC大阪のJ3参入は順調に進んだ。20年4月に「花園」の指定管理者に内定し、チームは同6月、Jリーグに参入を申請したと発表。21年6月に「23年3月末までの新スタジアム建設完了」を条件に第1の使用を一時的に認めてもらう覚書を市と結んだ。Jリーグには「ホームスタジアムは第1」だと報告し、22年11月、J3参入が決まった。
ただ、FC大阪は期限の「23年3月末」を過ぎても第1の使用を継続。今秋には、第2を本拠地化する構想が事実上破綻していることが明らかになった。