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フレデリック、オンラインライブで見せた“遊び”の形 楽しさを追求する姿勢:レポート

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 フレデリックが27日、オンラインライブ『FREDERHYTHM ONLINE「ASOVISION~FRDC×INT~」』を開催した。フレデリックのワンマンライブは、7月18日に行われた初のアコースティックオンラインライブ『FREDERHYTHM ONLINE「FABO!!~Frederic Acoustic Band Online~」』以来約2ヶ月ぶり。バンドセットでの公演としては、2月24日の横浜アリーナ公演『FREDERHYTHM ARENA 2020~終わらないMUSIC~』から実に7カ月ぶりのこととなる。 ■オンラインライブだからこその新しい「遊び」の形を提示  「前回は7月にアコースティックでやりました。でも、今日は生音、久しぶりに音を鳴らせてるのもすごく楽しいです。でも、それだけじゃ満足できないのがフレデリックなんですよね。まだまだ遊びたいなと思って」…そんなふうに息を弾ませながら序盤のMCで語る三原健司(Vocal&Guitar)の声も、三原康司(Bass&Chorus)・赤頭隆児(Guitar)・高橋武(Drums)の表情も、フルセットのバンドアンサンブルでフレデリックの音楽を演奏し届けることの喜びにあふれている。  もともと「ASOVISION」は、「フレデリックの音楽を通してアートと向き合う」ために開設されたYouTube番組の名称で、今回開催されたオンラインライブもそのコンセプトに基づいている。  コロナ禍によってアーティストのライブが軒並み中止・延期を余儀なくされる中、今回の「ASOVISION」も無観客での開催となった。が、これまでにもフレデリックのライブをサポートしてきた映像チーム=INTを迎え、「音楽と映像のコラボレーション」をテーマとしたこの日のアクトは、ライブハウスやアリーナの大観衆とともに作り上げるステージとは別種の、オンラインライブだからこその新しい「遊び」の形を提示した、冒険精神に満ちた一夜となった。  健司が作成した開演前の映像がライブへの期待感をかき立てる中、スタジオのバンドセットにスタンバイしたメンバー4人が映し出され、「はじめます!」の健司の言葉とともに「KITAKU BEATS」のカラフルなビートが加速。画面越しにそのサウンドの躍動感でオーディエンスの感情をダイレクトに揺さぶってくる。  さらに「遊んでいきましょう。よろしく!」(健司)のコールとともに、赤頭のカッティング冴える“シンセンス”からノンストップで「逃避行」、「かなしいうれしい」とライブアンセムを畳み掛けて、歌と演奏の温度を刻一刻と高めていく。  ここで「音楽と映像が合わさったらどんなふうになんのやろな? めちゃくちゃ楽しみです!」の健司の前置きを挟み、いよいよ「ASOVISION」の真骨頂と呼ぶべき場面を繰り広げていく。  「FRDC×Kezzardrix(INT)」のテロップとともに披露した「真っ赤なCAR」では、グラフィック化されたメンバー4人のシルエットが、暗転したライブ空間に浮かび上がる。リアルタイムのライブがそのままミュージックビデオとして作品化されていくような、配信ならではのミステリアスな「ライブ空間」だ。  続いて、9月22日にリリースされたばかりの新作EP『ASOVIVA』から「Wake Me Up」。『ASOVIVA』はコロナ禍のもと、メンバー各自がレコーディング環境を整えてリモート制作された作品だった。同EPでは電子ドラムでのレコーディングに挑戦していた高橋の、生ドラムセット越しで初めて目の当たりにする「Wake Me Up」の演奏は、ひときわ伸びやかなダイナミズムを備えているように思えた。  前曲とは一転、色とりどりのキューブが所狭しとディスプレイを彩ったり、MVにも登場したキャラクターが片隅で軽快にダンスを踊っていたり……と次々に切り替わる映像とともに、4人の熱演はよりいっそうハイパーなポップ感と熱量を帯びていく。 「ひっくりかえす」からは「FRDC×chaosgroove(INT)」のコーナーへ。<言いたりない事ビートに込めて>と闘志を覗かせる歌詞に続けて歌われる<ひっくりかえした夜でした>のリリックが立体化して文字通り引っくり返り、不屈の情熱を眩しく彩っていく。  『ASOVIVA』からもう1曲披露されたのは“SENTIMENTAL SUMMER”。2020年の「熱狂のない夏」の切なさを、原曲ではTR-808の打ち込みと電子ドラムで表現していたこの楽曲を、今回は生ドラムとパッドを駆使して再現。赤頭&康司が奏でるユニゾンのリフが、そしてリリックビデオ調の演出が、康司の歌詞に焼き込まれた想いを色濃く立ち昇らせてくる。  さらに、インディーズ時代の楽曲を立て続けに演奏した「FRDC×PAR(INT)」のコーナーでは、4人の立つ場所丸ごと映像効果で別世界へと導いてみせた。複雑な展開のサイケデリックな楽曲「バジルの宴」はドローン照明に照らされたフレデリックのアーティスト写真を想起させる天空の舞台。「アウトサイドの海」は星の海を漂うファンタジックな人工衛星――。フレデリックの音楽世界の奥深さが、視覚的なスケール感へと昇華されたひとときだった。 ■バンドにワクワクし続けられる人生で嬉しい  「リリリピート」のアッパーな高揚感とともに、再びライブは加速! ドラムソロ~リズムセッションを経て流れ込んだキラーチューン「オドループ」の圧巻の祝祭感! 「メジャーデビュー6周年、7年目を迎えます! まだ色褪せないこの曲――まだ遊び足りひんやんな? 遊ぼうや、まだまだ!」の言葉とともに突き上げる健司のエモーショナルな熱唱は、観る者を歓喜の「その先」へ導くドライブ感に満ちている。  最後のサビで画角が手持ちカメラに切り替わりバンドセットに急接近すると、メンバーの表情に思わず笑みがこぼれる場面も。<踊ってない夜はとってもとっても退屈です>……6年前、メジャーデビューミニアルバムの楽曲に康司が綴った歌詞が、2020年の「今」の時代感と渾然一体となって、健司の歌声と4人一丸の渾身の熱演を通して高らかに鳴り渡る――。珠玉のポップの中に反骨と歓喜が表裏一体で存在する、フレデリックの音楽の象徴のような名シーンだった。  「『フレデリックの音楽ってこういうのも合うよな』っていうのをやりたすぎて……初ライブで紙芝居しとった(笑)。その時からやってること変わってないなあって思って。いろんな遊びを取り入れてより面白くなるバンドやなって」……終盤のMCで健司が感慨深げに語る。  「いつまでも、このフレデリックっていうバンドにワクワクし続けられる人生で嬉しいです!」という言葉は、この日の演奏の手応えを何より率直に物語るものだった。  「10年ぐらいバンドやってきて考え方が変わってないっていうことは、この先20年も30年も、たぶん面白いことを考え続けると思ってます。オンラインライブはオンラインライブの楽しみ方があるし、ライブハウスはライブハウスの楽しみ方があるし、それはまったく別物。でも、フレデリックはその中で面白いことを考えられるバンドやと思ってるので」  そんな決意のメッセージに続けて、「2020年の今、伝えたい曲です」と最後に披露したのは、『ASOVIVA』の中でも最初にリモート環境で制作された楽曲「されどBGM」だった。<たかがBGM されどBGM/たかが人生で されど人生です/揺らして揺らして><刻むダンスミュージック/踊りだすのはあなた次第です>……4人の足元に舞い踊る鮮烈なグラフィックと競い合うように、タイトなビートとアンサンブルが弾け回り、最高のロックアクトの終幕を目映く飾っていた。「本日はどうもありがとうございました。また遊ぼうな!」――そんな健司の呼びかけが、どこまでも晴れやかに胸に響いた。  10月10日からはライブハウスツアー『FREDERHYTHM TOUR 2020~たかがMUSIC されどMUSIC~』、来年2月23日には初の日本武道館ワンマンライブ『FREDERHYTHM ARENA 2021~ぼくらのASOVIVA~』の開催が決定しているフレデリック。時代の逆境をものともせず、一歩また一歩と確実に前進を続ける彼らのさらなる「これから」が楽しみで仕方がない。【高橋智樹】 ■セットリスト 01.KITAKU BEATS 02.シンセンス 03.逃避行 04.かなしいうれしい 05.真っ赤なCAR 06.Wake Me Up 07.ひっくりかえす 08.SENTIMENTAL SUMMER 09.バジルの宴 10.アウトサイドの海 11.リリリピート 12.オドループ 13.されどBGM

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