【DeNA】石田裕太郎、プロ初勝利から破竹の4連勝 勝てない時期、支えとなったエースの言葉…「推しえて」
各担当記者の推し選手を紹介する「推しえて」第16回はDeNA・石田裕太郎投手(22)。23年ドラフト5位で入団し、今年6月9日のソフトバンク戦(横浜)でプロ初登板初先発初勝利。同16日の西武戦(ベルーナD)ではわずか95球「マダックス」で無四球完封を達成。球団新人初のオール先発でのデビュー4連勝も飾った。シーズン終盤、苦労も味わった右腕の支えはエース・東克樹投手(29)からの言葉だった。(取材・構成=内藤 菜月) 【写真】翌日に2軍降格となった一戦 地元・横浜出身。DeNAファンとしてハマスタに通い詰めていた少年が、夢をかなえて本拠で躍動した。石田裕は、1年目を4勝3敗、防御率3・97で終えた。 「いい経験ができたのと、一瞬だったなと率直に思います。大学、高校だと12月まで練習がある中でチームとして動くのが、11月いっぱいで終わるのは初めて。チームは日本シリーズまでいきましたけれども、自分は(出場選手40人枠に入れず)宮崎にいた。結構、早くシーズンが終わったなという印象はあります」 大卒で即戦力の自覚もあり、気合を入れて入団したが、春季キャンプは2軍スタート。それでもコーチの言葉に励まされた。 「入団する前はすごく気持ちというか、気合が入っていて『いっぱい勝ちたい』と思っていたんですけど、いきなり2軍のキャンプスタートになって…。ただ、そこで(2軍チーフ投手コーチの)入来さんとかからも『焦らずじっくりやっていけばいいから』と。長くやるための1年目というのを、ずっと言い聞かせてやっていました」 6月にようやくGOサインを出され1軍デビュー。相手が強敵だったからこそのプロ1勝だったのかもしれない。 「初登板初先発って言われた時に、『やっと来たか』という感じだったんですけど、相手がソフトバンク。『マジかっ』という感じもありました。ただ、逆にソフトバンクさんだったからこそ思い切りいけたというのはすごくある。自分の今までの野球人生の中で一番体が動いてた。投げ終わった後はどっと疲れたんですけど、自然と楽しいなっていう感覚が(あった)。自分の中では印象に残ってます」 そこから勢いに乗り、プロ初勝利から破竹の4連勝を飾った。 「あれだけずっと、連勝連勝っていう感じでいけたことは野球人生では、これまでなかった。どちらかと言えば、ベンチだったりで。体験したことない感じでしたね。どうしていいか分かんないじゃないですけど、その時もすごい一瞬でした」 もちろん喜びばかりではなく、苦しいことも多かった。4連勝後はなかなか勝ちがつかめず、早い回での降板もあった。 「正直、2軍にいようが1軍にいようが、気持ちが落ちたりとか、そういうのはあんまりなくて。やることやっていけば、おのずと呼ばれると思いますし、結果も出ると思います」 そんな時、支えとなったのがシーズン中にもらったエース・東の言葉だった。 「僕は1年目で東さんとは全然立場が違うんですけど『俺が裕太郎だったら、5回3失点という気持ちでいく』って言われました。『何本ヒットを打たれても、いくらピンチになっても、あと1本を出さなければいい』と。それがあったからこそ、連打を浴びてもあんまり自分としては焦らなかった。東さんの切り替えのすごさだと思う。実際、(ソフトバンクとの)日本シリーズ(第3戦)で7回で10安打されても1点に抑えてる姿を見たら、理想なのかなと」 チームを支えている東の姿にほれ、その背中を追う覚悟だ。 「右と左で全然違いますけど、タイプだったり考え方というか、試合をつくるという部分に関してはすごく理想とするピッチャー。ずっと東さんの動画とか映像も見させてもらったりしています。すごく参考になる部分がたくさんあるので、本当に東さんの数字っていうのを意識して来年はやっていきたい」 シーズン最終盤、10月2日の巨人戦(東京D)で6回4失点で3敗目を喫すると翌日に2軍降格。クライマックスシリーズ、日本シリーズはともに登板なく、悔しさが募った。来季はまた2月の春季キャンプから勝負する。目標は規定投球回だ。 「2ケタ勝利とか(最優秀)防御率とか、取れたら一番いいと思いますけど、今年1年間やってみて、長いイニング投げるのがどれだけ大変かをすごく実感しました。一つの目標として規定投球回を投げることができれば、おのずと勝ちも増えてくるし、チームも上がってくると思います」 ◆石田 裕太郎(いしだ・ゆうたろう)2002年1月22日、横浜市磯子区生まれ。22歳。屏風浦小3年から森ファイターズで野球を始め森中学校では硬式の神奈川横須賀ボーイズ所属。静清高では1年夏からベンチ入り。2年秋からエースも甲子園出場なし。中大時代は1年秋から救援でベンチ入り、2年秋にはエースとして最優秀防御率。23年ドラフト5位でDeNAに入団。180センチ、74キロ。右投右打。来季年俸は1300万円(推定)。
報知新聞社