「なんて器がでかい人なんだって尊敬しました」MotoGPの後輩ライダー・玉田誠さん
のりパパとノリックと飲んでみたかった
レース以外はGPパドックにあるSHOEIさんのトレーラーでよく話をしました。レースの話はしなくて、他愛のない会話でした。そんな時間がライダーには大事だったりするので、ノリックとの時間は楽しい記憶として残っています。日本にもどってライダー仲間として飲みに行くと、たくさんお酒を飲んでいました。酔うと周りの人に絡むので、それを見ているのも面白かった。 自分の親父が、チーム高武じゃなきゃダメだとチームに頼んでくれて、そこで走るようになったんです。チーム高武の先輩には柳川明さん、宇川徹さんや大ちゃんがいて、自分がいて、中冨伸一、清成龍一と全日本から世界へと羽ばたいたライダーが多いです。その流れの中で巡り合わせのように阿部選手と同じ時をMotoGPで走ることができたんだなと思います。 自分は、今、アジアロードレース選手権で監督をやっていますが、現役時代は引退したら、きっぱりとレースを辞めるって決めていたし自分が監督になるなんて少しも考えていなかったんです。でも、自分に何ができるんだろうって思ったらレースしかなかった。 だから、大ちゃんもノリックも生きていたら、チームを作ってレースをしていたんだろうなって思うんです。実際、大ちゃんが始めた大治郎カップからGPライダーが育っているし、ノリックはチームノリックを結成して育成を初めてのりパパが引き継いでいます。きっと、ふたりがいたらすごいチームを作っていたのだろうと思います。だから、自分も負けられないなって思うんです。 心残り…。のりパパ(阿部光雄)とは、今も良くお話させてもらうんですが、ノリックとのりパパといつか3人で飲んでみたいなと思っていました。きっと、楽しいお酒だったと思うんです。
佐藤洋美