女性暴行事件相次ぐ インド旅行で何に気をつけるべきか?
日本と同じ感覚を持ってはいけない
また、ホテル内であっても油断は禁物です。 「旅行者に特に気を付けてもらいたいのがホテルの選び方です。日本のホテルでは、荷物から目を離したり、貴重品を部屋に置いておいたりしても盗まれることはありませんが、インドではその常識は全く通用しません。一泊500円などの安いホテルは避けましょう。セキュリティが甘く、スタッフがしっかり教育されていない場合が多いです。いきなりスタッフが部屋に入ってきたり、下品な話を持ち掛けてきたり……と、まったくホテルの体を成していないということもあります」 インドで宿泊する場合はある程度のランクのホテル、都市部であれば定価で一泊3000円以上のホテルを選ぶのが無難だそうです。もし盗難やスリなどに遭ったら、たとえ小さな被害であっても警察に訴えることも大切です。そのまま放置しておくと、ほかの日本人が次の標的にされるきっかけにもなってしまうからです。
日本人はターゲットになりやすい
一方、現在デリーに留学中の川上茜さんは、ご自身の体験と女性ならではの視点からインドの現状について語ってくれました。 「1年半前、留学で来印するとき、深夜の便でニューデリーに到着しました。現地の友人が迎えにきてくれる予定だったところをうまく待ち合わせができなかった私は、一人でタクシーに乗り込み、ホテルに向かいました。そのとき、運転手に『もっといいホテルを知っている』と言われ、助手席に乗せられました。すると、運転手が執拗に身体を触ってきたのです。走行中のタクシーから降りて逃げられる状況ではなかったので、咄嗟に運転手の手を強く叩いて拒絶しました。そして早く指定の場所に向かうよう伝え、なんとか無事にたどり着くことができました。襲われてもおかしくはない状況だったので、自分の危機管理の甘さを痛感しました」 そんな川上さんは、インドでの暮らしのなかで、しばしば「女性の立場の弱さを感じる」と話します。 「一部のインド人女性は、親が許した相手じゃないと交際ができないことがあるので、ガードが固く、簡単には恋愛関係を結べない場合が多いです。そうなると、インド人男性は必然的に外国人をターゲットにします。とりわけ体格が小さくて『NO』と言わない日本人女性に近づくケースはかなり多いと思います」 カースト制度が根強く残るインドでは、いまだ身分差別が存在します。また、ヒンドゥー教では女性を差別する規定があり、現在でも女性軽視の文化は消えていないのが現状です。そんな古くからの習慣や文化が、女性を狙った犯罪につながっているとの見方もあります。