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【追悼 志村けん】超貴重!笑いだけじゃない!今や幻となった「ザ・ドリフターズ」の映画を知ってるか?

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■1969年には年間4本上映。『男はつらいよ』シリーズとの同時上映も多かった! 

 お笑い界の重鎮・志村けんさんの訃報。耳を疑った人も多いだろう。日本中が悲しみに包まれたような感覚にさえ襲われた。 この記事の写真はこちら 『キネマの神様』で菅田将暉とのダブル主演、春からスタートしたNHK朝の連続テレビ小説「エール」への出演など、さらなる活躍が期待されていただけに、その訃報が悔やまれる。  志村けんさんと言えば、高倉健さん主演で日本アカデミー賞・最優秀作品賞を受賞した『鉄道員』(ぽっぽや)での名演や、アニメ映画『ロラックスおじさんの秘密の種』で主役の吹き替えを担当するなど、映画界にも寄与した人物として知られる。  そんな志村けんさんが出演していた映画が、過去にもあったのをご存知だろうか?   そう、あの伝説のグループ「ザ・ドリフターズ」の主演映画である。  ドリフは1967年~1975年の間に、なんと21本もの「ドリフの映画」を世に送り出している。特に『8時だョ! 全員集合』が放送開始された1969年には4本もの「ドリフの映画」が公開され、いずれも話題を呼んだ。1969年と言えば、前年にチェコスロバキアで起こったプラハの春も記憶に新しく、東大安田講堂攻防戦や中ソ国境紛争、昭和天皇パチンコ狙撃事件などが勃発するなど、社会的不安の高まっている時代でもあった。一方映画界では喜劇映画が人気を博していて、クレイジーキャッツやコント55号なども主演映画を公開していた時期でもある。同年は『男はつらいよ』の第1作が公開された年でもあった。  そんな時代に作成されたドリフの映画だが、もちろんただの「笑い話」で終わるような映画ではない。主人公の職業だけ見てもヤクザ、探偵、コソ泥、占い師、会社員、ギャングと多種多様。作品でも学生運動や夜逃げ寸前の自営業者、怪しげな新興宗教による悪事など、重いテーマを取り扱うことも多く、過激さや面白さだけを追い求めるあまり荒唐無稽になりがちだった当時の喜劇映画において、非常に腰の据わった作品が多かった。  特に1974年の『ザ・ドリフターズの極楽はどこだ!!』は、うだつの上がらない万年係長役を演じるいかりや長介さんが主人公のホームドラマで、家族とのすれ違い、親友の急死、自殺未遂など非常に重厚感のある作りになっている。主人公の息子役・加藤茶さんと、その悪友役・志村けんさんの演技にも注目したい一作だ。話題作でありドリフターズの周りを固めるキャストも豪華絢爛。現・千葉県知事の森田健作さんや三代目水戸黄門の佐野浅夫さん、さらにはアン・ルイスさんや天地真理さん、キャンディーズと、顔ぶれを見ただけでも力の入り方が伝わってくる面々ではないだろうか。  もちろん他作品も時代を代表する芸能人が出演し、藤田まことさん、財津一郎さん、伊東四朗さん、ハナ肇さん、堺正章さん、アグネス・チャンさん、樹木希林さん、西川きよしさん、松坂慶子さんなど、今もなお人々に愛されるメンバーが名を連ねる。  「ドリフの映画」は『男はつらいよ』シリーズと同時上映となることが多かった。そうした意味でも山田洋次監督との縁があったため、同監督がメガホンを取る『キネマの神様』への出演がなくなってしまったのは悔やみきれない想いだ。  残念ながら「ドリフの映画」はDVD化・Blu-ray化されていないので、気軽に観ることは難しい。しかし映像としては残っていて時折テレビ放映もされているため、追悼放送として地上波やBS・CS放送で流される可能性は大いにある。今となっては幻の作品となってしまっている「ドリフの映画」を見逃さないよう、注意深くアンテナを張っているということも、ある種の供養になるのかもしれない。

文/おがた 規慎

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