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「山本五十六は避戦派」米で評価見直し機運 米中緊張も背景か

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日経BizGate

 国内で名将と称賛されても、海外では悪党扱いされているケースはままある。その1人が、79年前の真珠湾攻撃を成功させた海軍の山本五十六・連合艦隊司令長官(元帥、1884~1943年)だ。日本では理想的なリーダーの1人に挙げられてきたが、米国では日本側の最後通告が遅れたこともあって、だまし討ちの張本人として批判の対象だという。ただ今春米国で発刊されたノンフィクション「アメリカが見た山本五十六」(原題:DEAD RECKONING 邦訳は原書房から7月に出版)は従来と違い、対米戦を避け軍備を抑止力として使おうとする山本像が描かれている。日本海軍史研究の畑野勇氏(武蔵学園記念室)に聞いた。

根強い「真珠湾だまち討ちの仕掛け人」

 山本五十六に対する米国の評価が変わりつつある。これまでは「真珠湾だまし討ちの仕掛け人」「ホワイトハウスまで狙った侵略主義者」と語られることが通例だった。今年1月にイラン革命防衛隊のソレイマニ司令官を殺害した作戦に関して、記者会見で米国務省高官は太平洋戦時の山本機撃墜になぞらえ、その正当性を主張した。日本が最後通牒(つうちょう)をハル国務長官(当時)に渡した時、ハワイ・真珠湾への攻撃はすでに始まっていた。米海軍は敵軍の頭脳、中枢を破壊する「標的殺害」作戦を立案し、ずるい奇襲を仕掛けた相手を奇襲攻撃で報復した――という論法だ。  しかし「米国が見た山本五十六」では、対米戦争を避けようと苦闘する姿に焦点を当てる。著者はボストン大学ジャーナリズム学のD.レイア教授で、戦史研究の専門家ではないものの、撃墜作戦を具体的に指揮した米海軍のミッチェル少佐と、山本との人生を交差させながら描いた。畑野勇氏は「あまり知られていなかった米軍大尉との交流などを紹介していて興味深い」と評価する。山本はハーバード大留学や在米大使館付武官などを経験した米国通で、この大尉の山本評は「人情に厚く飾らず誠実」だった。  山本が国際的に注目され始めたのは1934年(昭和9年)に第2次ロンドン海軍軍縮会議の予備交渉代表を務めてからだという。日本の目標は英米日の主力艦保有比率を「5:5:3」と定めた比率主義に基づく協定を撤廃することだった。「私は小柄ですが、皆さんは私に『皿の上の料理を5分の3だけ食べなさい』とは要求しないでしょう? 」と冗談を交えながらも、はっきり主張示した。

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