カフェへ改修、CF募る 陶芸家故クナッパーさん居宅 長女のウテさん 茨城・大子
茨城県大子町塙の古民家に住み、作陶活動を続けたドイツ出身の陶芸家、故ゲルト・クナッパーさん(1943~2012年)。長女のウテ・クネッパーさん(51)は、父が居宅として愛した築200年の古民家を改修し、カフェ「太郎坂屋敷カフェ」としての開業に向けてプロジェクトを進めている。資金の一部を捻出するため、クラウドファンディング(CF)で支援者を募っている。ウテさんは「〝200歳〟の家を守りたい。訪れる人に癒やしの時間を与えたい」と話す。来年の正式オープンを目指している。 クナッパーさんは1967年に来日。28歳の時、第1回日本陶芸展で優秀賞・文部大臣賞を受賞。知人の紹介で知った同町の古民家にほれ込み、75年に一家で移住した。「焼き物を作る傍ら家の修理を重ねていた」と、ウテさんは振り返る。 カフェへの改修は、父亡き後、長年温め続けてきた夢だった。長屋門を改装した「ゲルト・クナッパーギャラリー」には生前の作品やこれまでの歩みを展示し、完全予約制で鑑賞できる。来場者からは「カフェがあったらいいね」との声が上がっていた。ウテさんは「父は、一時レストランにしようと思っていたこともあった。カフェの開業には反対ではないだろう」と話す。 改修を進めているのは応接間など。工事は昨年10月に始まり、厨房(ちゅうぼう)はほぼ完成した。年月がたっている分、床材などの傷みが想像以上なのが明らかになったことから、さらなる修繕費が必要となり、CFへの挑戦を決めた。 カフェでは「ここでしか飲めないコーヒーを飲んでほしい」と、ウテさんと妹(48)が同県ひたちなか市のサザコーヒーの豆をブレンドしたオリジナルコーヒーを提供する。「父好みの濃い味を選んだ」とウテさん。昨年亡くなった母、キエ子さんから受け継いだ味を再現するブラウニーなどもメニューに加える。 目標金額はカフェや設備費用として1500万円。応募の終了は9月24日午後11時まで。第1目標とする300万円に届かなければ全額返金となる。ウテさんは「成功すれば、今秋にでもプレオープンさせたい」と意気込む。 支援の協力者にはカフェで提供するコーヒーや大子町名産の「奥久慈お茶セット」などをお礼の品として用意する。詳細はインターネットのCFサイト「レディーフォー」に掲載されている。 これまでもウテさんは、2018年にはかやぶき屋根補修のため、22年にはクナッパーギャラリーの再始動のためにCFを実施、目標金額を上回る支援を集めている。
茨城新聞社