スチールプランテック、環境調和型高効率アーク炉「エコアーク」に新タイプ。スクラップを水平装入、電力原単位削減も実現
製鉄プラント企業のスチールプランテック(社長・灘信之氏)は環境調和型高効率アーク炉「エコアーク」の新タイプとなる「エコアークフィット」の開発を完了した。スクラップを従来の垂直ではなく水平に装入する製品で、工場レイアウトにかかわらずほぼ全ての顧客が設置可能となる。また水平装入タイプでネックとなる予熱効果も確保し、従来電炉に比べトン当たり50~60kWhの電力原単位減少も併せて実現した。今後新たなエコアークシリーズとして積極的に拡販し、今年度中の受注を目指していく方針。 「エコアーク」は炉内から発生する廃熱を利用し、スクラップが通過するシャフト内で予熱することで電力原単位を減少させることが特長。しかし、建屋制限や天井クレーンとの干渉でシャフトが設置できないケースや、シャフトと炉体が一体となっているため出鋼時の炉体傾動の際に建屋やクレーンに干渉するという理由で設置できないケースがあった。 今回、電炉へのスクラップ装入アプローチに水平コンベアを用いてこれを解消した。 従来、水平装入タイプの電炉はスクラップ予熱効果がほとんどなく、電力原単位の減少に寄与できないことから「エコアーク」への適用は考慮されてこなかった。同社では発想を転換し、水平コンベアと炉体本体の連結部に予熱ゾーンを設けることで克服。設備のコンパクト化と電力原単位削減の両立を実現した。 「フィット(FIT)」の名称は「フレキシブル&インテグレータブル・サーマルリカバリーシステム」の略で、ほぼ全ての顧客にフィットする「エコアーク」を目指した。 既に「エコアークシリーズ」を省エネ先進技術対応電炉として、PRを開始した。反響は大きく、引き合いも複数寄せられているという。 同社では国内で拡販を図るとともに、予熱効果のない水平装入タイプが多く存在する中国でも置き換え・新設需要を捕捉し、省電力効果世界一の「エコアークシリーズ」を日本から世界へ普及拡大させたい考え。