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トーマスらが指摘する「PGAツアーで感染者が出た背景」とマキロイが推測する「気がついた理由」とは!?

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みんなのゴルフダイジェスト

PGAツアー再開2戦目の「RBCヘリテージ」に出場していたニック・ワトニ―が、新型コロナウイルス陽性となり棄権した。PGAツアーに初の感染者が出た背景にはなにがあったのか。選手たちのコメントから探った。

感染したワトニーと同行したガルシア「彼は25回は僕にゴメンと謝った」

PGAツアー再開第2戦目の「RBCヘリテージ」(サウスカロライナ州ヒルトンヘッド)で、PGAツアー初の新型コロナウイルス陽性者が出た。ツアー5勝のニック・ワトニーだ。彼は初日のラウンドが終わり、練習後に宿舎に戻って仮眠を取ったが、その後から体調不良を訴え始め、コロナウイルスによるものと思しき症状が発症。2日目の朝、不安に思った彼は試合会場でプレー前に医師に相談し、検査してもらった結果、陽性が判明した。 「彼は焦ってたね。荷物をまとめて彼とゴルフ場を後にしたが、車の中で陽性だったことを説明されたんだ。彼は自分のことではなく、みんなのことを気にしていた。誰と接触したかを考え、彼らに早く知らせないと、と考えていた。誰かに感染させたか、すごく気にしていたんだ」 ワトニーの専属キャディのトニー・ナバロは、米国ゴルフ誌の記者の取材にそう答えた。 ワトニーが2日目の朝に不安に思い、検査を受けた方がいいと思ったそうだが、それは、彼が日頃身につけている「WHOOP」というアスリート向けの手首バンド型ウェアラブル端末が、体の異変を知らせたからではないか、とロリー・マキロイは推測する。2日目の朝、検査の結果が出るまでの間、パッティンググリーンにいたワトニはマキロイと距離を取りながらWHOOPについて話をしていた。 「WHOOPが呼吸数が上がっていることを知らせたに違いない。だから彼はウイルスに感染したんじゃないか? と思ったんだろうね」 以前、私もワトニーにこのバンドについて聞いたことがあったが、 「今ではツアーで何人も使っているよ。睡眠時間を計ったり、アルコール消費量と心拍数などもわかる。寝るときもつけて寝ているんだ。スコット・スターリングが最初にツアーに持ち込んだ選手だったんだよ」と教えてくれたことがあった。このデバイスは現在では多くのトッププロが使用しているが、コロナウイルスに感染したかどうかの目安を知ることができる、便利なツールのようだ。 その後、キャディのトニー・ナバロの他、ワトニーと濃厚接触の可能性がある11人が検査を受けた。初日に一緒に回っていた2人のプレーヤーであるボーン・テーラーとルーク・リスト、彼らのキャディ、そして自宅のあるテキサス州オースティンから一緒にプライベートジェットで移動してきたセルヒオ・ガルシアらが検査を受けたが、結果は全て陰性だった。 「ニックのことがとても気の毒だよ。彼はツアーで1、2を争うナイスガイだからね。彼はいい友達で、僕のことを本当に心配してくれている。何度もメッセージを送ってきたけど、彼はたぶん25回は僕にゴメンって謝ってたよ。彼を僕のプライベートジェットに乗せて移動してきたけど、一緒に検査を受けたら陰性だったので、よかったと思っていたんだ。もし僕も陽性で週末にプレーできなかったら、すごくガッカリしていただろうね。不幸にも彼がコロナにかかってしまったけど、彼よりもコロナにかかってもいいような人間はたくさんいるのに……」 この発言をした時、ガルシアの頭の中には、いったい誰が思い浮かんだのだろう? うっかり発言が多いガルシアの、最後の一言は余計だが、確かにワトニーはツアー屈指のナイスガイで、彼が初の陽性患者になってしまったことは気の毒だ。自分のことよりも他人のことをずっと気にしているというのも、いかにも彼らしい話だが、彼は現在、ツアーから全面的にサポートを受け、ガイドラインに従ってヒルトンヘッド島内で自主隔離中だ。その間、キャディのナバロが必要なものを調達するなど、サポートしているという。彼の話では体調は改善しているそうだが、隔離日数は少なくとも10日~14日間と言われている。 さて、PGAツアーは今週も369回の検査を行ない、第1戦のチャールズ・シュワブ・チャレンジ同様、ツアー会場内には消毒薬の設置やソーシャルディスタンスの看板を立て、注意喚起を行なっていた。無観客でメディアの人数も相当制限している。それにも関わらず、陽性者が出てしまったのには大きく2つの理由があるのではないか、と言われている。 一つは、「気の緩み」だ。キャディは旗竿やバンカーレーキを触ってもいいが、必ず除菌するように言われている。しかし、このガイドライン通りに手の消毒をしない人がだんだん増えてきたという。また、テレビ中継を観ていても、選手とキャディ間のソーシャルディスタンスもあやふやだ。本来、選手が自分でバッグからクラブを取り出し、打ち終わったら自分でしまう、というスタイルが奨励されているが、いつも通りにキャディがクラブの抜き差しをしているシーンもよく観られた。1戦目のチャールズ・シュワブ・チャレンジでは、選手もキャディも相当緊張感を持って試合に臨んでいたはずだが、人間、だんだん慣れてくると気の緩みが出てきてしまう。ワトニーの同伴競技者だったボーン・テーラーは次のように語っている。 「我々はもっと気をつけなければいけないんだ。1週目はみんなすごく気をつけていたけど、ヒルトンヘッドにやってきてからはこの島のリラックスした雰囲気もあって、みんなも同様にリラックスしていたと思う。レストランやバーではたくさんの人たちが集まりすぎている。検査を十分に受けることができれば、お互いに信用しあえると思う。もっと受けたい時にいつでも検査が受けられるといいのだが……」 テーラーが指摘するように、陽性者が出てしまったもう一つの理由は、「ヒルトンヘッド島」の持つリゾート感にあるのではないか、とジャスティン・トーマスも指摘している。 「ヒルトンヘッドが悪いわけではないが、コロナウイルス対策についてあまり真剣に取り組んでいないのではないか、と思う。まるで動物園のようだよ。人はいろんなところにいるし、ビーチもレストランも人でいっぱいだ。ニックはとても気をつけていたし、できる限りの対策をやっていたのに、ヒルトンヘッドエリアにいる大勢の人たちは、コロナウイルスに対してあまり気をつけていないんじゃない?」 カルロス・オルティスは、ヒルトンヘッド内のレストランについてこう語っている。 「30分待ってレストランに入ったが、人との距離やテーブルの間隔は狭いし、子供たちは走り回っていた。そして誰もマスクをつけていない。まるでコロナに感染しにきたようなものだね、と話をしていたんだ」 ヒルトンヘッドはサウスカロライナ州のリゾートアイランドで、先週のダラスの会場付近に比べたら、つい開放的な気分になりがちな場所だ。人との距離も近くなり、マスク着用も鬱陶しくなってしまう。だが、この雰囲気に呑まれることなく食事や移動に気をつけなければ、ワトニーのようにどこでウイルスに感染するかわからない。 次週はコネチカット州クロムウェルで開催される「トラベラーズ選手権」だが、このコースの周囲はヒルトンヘッドのような開放感のない田舎町だ。おそらく選手たちもワトニーのことを考えながら、むやみに外出したりせず、気を引き締めて試合に臨むことだろう。

大泉英子

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