五輪リザーブは「楽しかった」卓球女子団体・木原美悠が語る、長い選考レースの末に笑顔でサポートできた理由…「気持ちの準備はできていた」
パリ五輪、決勝戦で王者中国と激闘を演じ、4大会連続のメダルを獲得した卓球女子日本代表。そのチームで、目立たぬながら重要な役割を果たしたのがリザーブの木原美悠だった。リザーブで五輪を経験した選手が次大会で活躍するケースは少なくない。木原が代表選考からパリでの日々で得たもの、そしてこれからへの思いをNumberWebのインタビューで語った。<全2回の前編/後編へ> 【写真】「4人でメダルかけて写真を」女子卓球4姉妹の仲良しフォト、最強・中国との激闘プレイバックの現地写真+木原の笑顔の撮りおろしを全部見る パリ五輪でシングルス、団体で2つのメダルを獲得した卓球の早田ひなが、何度も繰り返し感謝を捧げた相手がいる。団体戦リザーブを務めた木原美悠(木下グループ)だ。 リザーブとは団体の誰かしらが病気や怪我などアクシデントでプレーできなくなったとき、交代して出場することができる立場の選手だ。 ただ卓球では交代に至るケースは実際には少なく、その役割は代表選手の練習相手を務めるなど、いわば裏方としての仕事が主となる。団体でメダルを獲得しても、受け取れるわけではない。公式のウェアなど、支給されるものにも違いが出てくる。 だがもちろんリザーブも、オリンピックの舞台を目指してきた強豪選手だ。求められる役割と、本来目指していたものとの違い、担う仕事のハードさ……これまでの大会でリザーブを任された選手の中には、濃淡の違いはあってもその務めに葛藤があったことを示唆するものもいた。それも無理はない。
リザーブという立場の難しさ
早田の木原への感謝の中に、このような言葉があった。 「人の気持ちを考えて行動する難しさを、私は東京のときに経験しました。メダルを獲得していく仲間の練習相手や球拾いや応援など、できることは何でもやりました。その心中は、痛いほど分かっています」 早田も東京五輪で務めた、リザーブという立場の難しさが伝わってくる。木原はその役割を全うしてみせた。 あらためて代表選考レース中の心境、代表に入れなかったときのこと、リザーブという役割をどう考え取り組んだのか。そしてこれからへの思いを木原に尋ねた。 パリ五輪開催中の8月3日に20歳の誕生日を迎えた木原美悠は、卓球界にあって早くから将来を嘱望されてきた。 成績が物語る。小学生の頃には年代別の全国大会で次々に優勝し、2019年全日本選手権では平野美宇らを破り、14歳5カ月の史上最年少で決勝に進出。伊藤美誠に敗れたものの準優勝を果たした。さまざまな国際大会にも出場し、世界ジュニア、世界ユース選手権で表彰台に上がり、2022年には世界選手権代表にも選ばれている。自然と、パリ五輪代表候補の一人として目されるようになっていた。 木原自身もパリを意識していた。 「(コロナ禍の影響があった)東京オリンピックのときは会場に行くことができず、現地で試合を見ることもできなくて、オリンピックという大会を画面で見ることしかできませんでした。でも、伊藤選手と水谷(隼)選手のミックスダブルスや、石川(佳純)選手、平野選手の戦う姿に、ほんとうに格好いいイメージがあって、自分も次のパリオリンピックでこんな大きな舞台に立てたらいいなっていう気持ちは強くなりました」
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