新型ソリオ登場でトールワゴン市場の行方は? 激売れトヨタ・ルーミーの牙城に迫れるのか
11月25日、スズキは、コンパクトトールワゴン「ソリオ」の新型を発表した。 【写真を見る】新型ソリオの詳細(62枚)先代との違いをチェック
機能性&安全性向上
ソリオはワゴンRの小型乗用車版(ワゴンRワイド)をルーツに持つコンパクトタイプのトールワゴンだ。今回、約5年ぶりにフルモデルチェンジを受けた。スズキの資料によれば、同社でもっとも売れている小型乗用車であるという。 新型の特徴は、市場調査をもとに居住性の改善(特にリアシートとラゲッジルーム)と安全装備の拡充が重視されたことにある。 ボディは全長を80mm延長し、荷室床面長を100mm拡大したことで、ラゲッジルーム容量を拡大。ラゲッジルームの開口幅は1075mm、開口高は980mm、床面長は最大1390mm(リアシート格納時)に達する。5名乗車時でも35リッターのスーツケースを5個、積めるとのこと。 リアシートは、内装部品の形状見直しによって後席左右乗員の肩まわりスペースを拡大し、3人乗車時の快適性を高めたという。ヘッドクリアランスも先代より5mm拡大された。なお、リアシートはスライドおよびリクラニング機構付きだ。 先進安全装備パッケージの「スズキ・セーフティ・サポート」はアップデート。ACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)に、全車速追従機能を追加した。くわえて、衝突被害軽減ブレーキ、誤発進抑制機能、車線逸脱警報機能、オートハイビーム・システムなどを備える。360°カメラはナビ画面のサイズ拡大と画素数アップによって、さらに見やすくなった。 運転席まわりには、ダッシュボード上にカラーヘッドアップディスプレイを新設。車速や瞬間燃費、エンジン回転数などを表示する。メーター内には4.2インチカラー液晶タイプのマルチインフォメーションディスプレイを全車標準装備。警告表示などがより見やすくなったという。
マイルド・ハイブリッド仕様も設定
内外装はふたつの異なる仕様を設定。標準のソリオと、スポーティなソリオ・バンディットだ。 外装は前後灯火類やフロントまわりのデザインを差別化し、個性を演出している。いずれの仕様も、大型化されたフロントグリルが新型であることを主張する。ボディカラーはソリオが8色で、ソリオ・バンディットが11色から選べる。後者にはブラック×オレンジなどの2トーン仕様の4色も含まれる。 内装は機能性を重視したものだ。メーターの見やすさやスウィッチ類の使いやすさを追求したという。たとえばメーターは、ドライバー側に向け、視認性をより高めたそうだ。シフトノブも、操作性を改善するべく、位置をよりドライバーに近づくよう見直したという。さらに、より小さな力で動かせるよう角度も変更している。 小物入れは豊富だ。ラゲッジルームにはショッピングフックが新設されており、インパネのドリンクホルダーは形状が見直され、より安定して飲み物が置けるようになったという。 ソリオとソリオ・バンディットでは内装のカラーコーディネートが異なる。前者はネイビーとホワイトを、後者はボルドーとブラックを基調としている。シート表皮はいずれもファブリックだが、加飾やトリムの材質も見直され、クオリティ向上を図ったという。 搭載するエンジンは1.2リッター直列4気筒ガソリン・エンジン。圧縮比を高めるとともに機械的な摩擦を低減し、熱効率を徹底的に追求したという。最高出力は91ps/6000rpm、最大トルクは118Nm/4400rpm。エントリーグレード以外は、これにISG(モーター機能付き発電機)を組みわせたマイルド・ハイブリッド仕様になる。発進や加速時などにモーターがアシストすることで、燃費が向上するという。トランスミッションはCVTのみで、駆動方式はFWD(前輪駆動)と4WDが選べる。 足まわりは、前後のショックアブソーバーを改良し、かつリアサスペションのストロークを拡大することで乗り心地が良くなったとうたう。構造用接着剤をボディ各所に使い、剛性を高めることで、操縦安定性が向上したそうだ。 新型ソリオの価格は158万1800~214万8300円。ソリオ・バンディットが 200万6400~213万1800円。
文・稲垣邦康(GQ)