年度上半期の「税金滞納(社会保険料含む)」倒産 94件で最多を更新、小・零細企業ほど資金捻出に苦慮
2024年度上半期(4-9月)「税金滞納」倒産
2024年度上半期(4-9月)の「税金滞納(社会保険料含む)」を一因とした倒産は94件(前年同期比113.6%増)と急増。年度上半期では、2018年度同期の45件を抜いて最多を記録した。 政府は、2024年6月から「事業再生情報ネットワーク」の運用を開始し、公租公課の確実な納付と事業再生の両立を目指している。だが、10月から社会保険の適用対象が拡大され、企業は新たな資金負担に向き合う。公租公課の納付は健全な財務内容が支えるだけに、企業の安定成長への支援が求められる。 コロナ禍では資金繰り支援に加え、税金や社会保険料などの納付猶予が実施された。このため、「税金滞納」倒産は2021年度上半期3件、2022年度同期7件と低水準だった。しかし、経済活動が本格的に再開し、各種支援策が縮小・終了したなか、円安などで原材料やエネルギー価格の高騰、賃上げなどで収益が圧迫され、企業はコストアップ対応を迫られている。 ただ、コロナ関連支援の副作用で、過剰債務に陥った企業は新たな資金調達が難しく、通常の運転資金を優先するため、納税(納付)資金を後回しにせざるを得ない企業も少なくない。これを裏付けるように、2022年度同期以降の「税金滞納」倒産が急増した。 税金や社会保険料の納付は義務で、事業活動の継続には避けては通れない。一方で、売上増に利益が伴わない企業は、納付(納税)資金の確保が難しくなる。また、金融機関は公租公課の滞納企業の債務者区分を引き下げることが懸念される。このため、業績回復や経営再建への取り組みが遅れた企業を中心に、しばらく「税金滞納」倒産は高水準をたどる可能性が高い。 ※本調査は、2024年度上半期(4-9月)の全国企業倒産(負債1,000万円以上)のうち、「税金滞納」関連を集計・分析した。
年度上半期の「税金滞納」倒産94件、前年同期の2.1倍に急増
2024年度上半期の「税金滞納(社会保険料を含む)」を一因とする倒産は94件(前年同期比113.6%増)に達した。 コロナ禍の国税や社会保険料の納付猶予が終了したが、一方で物価高や賃上げで弾力的な資金繰りが難しい企業が増えている。企業は運転資金の確保を優先するため、納税(納付)資金まで手当てできず、後回しする企業も少なくない。 長期間にわたり滞納が続くと金融機関や取引先などに取引照会が送付され、滞納が知れ渡りレピュテーションリスクを引き起こす可能性もある。今年10月から社会保険の適用範囲も拡大され、新たな資金負担が増す企業の増加が予想される。納税・納付には、経営再建や生産性向上が求められ、そのための後押しも必要だ。