【59歳、会社員】老後も働いていると年金額が減るそうですが、どのくらい減るのでしょうか? 再雇用後は月収30万円くらいに半減するので、さらに年金まで減るのかと不安です。
「老後も働いていると年金額が減る」、もしくは「働きながら年金を受け取ると年金額が減る」と聞いたことはないでしょうか。 再雇用後、働きながら年金を受け取ろうとされている方にとって「働きながら年金を受け取ると年金額が減る」と聞くと不安になると思われます。 ▼65歳から70歳まで「月8万円」をアルバイトで稼ぐと、年金はどれだけ増える? 本記事では、「老後も働いていると年金額が減るのか?」「在職老齢年金制度により年金はいくら減額されるのか?」について解説します。もうすぐ定年を迎える方だけでなく定年後も働こうとお考えの方の参考にもなると思いますので、ぜひ最後までお読みください。
老後も働いていると年金額が減るのか?
「老後も働いていると年金額が減る」制度のことを、「在職老齢年金制度」といいます。厚生労働省のホームページによると「在職老齢年金とは、就労し、一定以上の賃金を得ている60歳以上の老齢厚生年金受給者を対象に、当該老齢厚生年金の一部又は全部の支給を停止する仕組み」です。 「老齢厚生年金の一部又は全部の支給を停止」されるのは、以下の要件に全て該当する方です。 ●働いている(厚生年金保険の被保険者である) ●老齢厚生年金を受給している ●年金(基本月額)と賃金(総報酬月額相当額)の合計額が支給停止調整額を超える 「基本月額」とは、老齢厚生年金(加給年金額を除く)の月額のことです。「総報酬月額相当額」とは、「その月の標準報酬月額」と「その月以前1年間の標準賞与額の合計を12で割った額」を合計した金額のことです。令和6年度の「支給停止調整額」は50万円です。 したがって、「老後も働いている」というだけでは、年金額は減りません。年金額が減るのは、老齢厚生年金を受け取りながら働いて賃金を得ている場合であって、かつ老齢厚生年金額(加給年金額を除く)と賃金の合計額が支給停止調整額(令和6年度は50万円)を超える場合です。
在職老齢年金制度により年金はいくら減額されるのか?
例えば、タイトルにあるように再雇用後の月収が30万円であったとします。仮に「その月の標準報酬月額」を30万円、「その月以前1年間の標準賞与額の合計」を240万円(=60万円×4ヶ月)とすると、総報酬月額相当額は50万円(=30万円+240万円÷12)となります。 令和6年度に再雇用の予定であるなら、総報酬月額相当額(50万円)と支給停止調整額(50万円)は同額となりますので、もし働きながら老齢厚生年金を受け取るのであれば、在職老齢年金制度により受け取れる年金額が調整(一部または全額支給停止)されます。 在職老齢年金制度による調整後の年金支給月額は、以下の計算式によって求められます。 基本月額-(基本月額+総報酬月額相当額-支給停止調整額)÷ 2 例えば、基本月額を10万円、総報酬月額相当額を50万円、支給停止調整額を50万円とした場合の年金支給月額は、以下のように計算します。 10万円-(10万円+50万円-50万円)÷ 2 = 5万円 この場合、年金支給額は5万円なので、在職老齢年金制度の調整により基本月額10万円から5万円減額されていることが分かります。 上記の計算例では年金額が「一部支給停止」でしたが、場合によっては「全額支給停止」となることもあります。 計算式から考えると、全額支給されるのは「総報酬月額相当額と支給停止調整額の差が基本月額と等しい」ときです。例えば基本月額10万円・総報酬月額60万円・支給停止調整額50万円のとき、以下のように年金支給月額は0円になり、全額支給停止されることが分かります。 10万円-(10万円+60万円-50万円)÷ 2 = 0円