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高知の酒蔵がアルコール77度の酒発売、事実上の消毒用 「そのスピリッツに感動」と話題

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税理士ドットコム

新型コロナウイルスの感染拡大で、マスクや消毒用アルコールの品薄状態が続いています。そんな中、高知県安芸市の菊水酒造が、アルコール度数77度のスピリッツ「アルコール77」を4月10日に発売します。消毒や除菌を目的にしたものではないとしていますが、アルコール度数などから消毒用とうかがうことができ、インターネット上では「そのスピリッツに感動」「できることはやろうという姿勢がいい」などと話題になっています。(ライター・国分瑠衣子) ●酒税法上、スピリッツに分類 菊水酒造は、江戸時代から酒造業を営む歴史ある酒蔵です。同社のホームページによると、1948年に菊水酒造合資会社を設立、2002年7月に菊水酒造に組織変更しました。社名を冠した「純米大吟醸 菊水」や「純米吟醸 四万十川」などを製造しています。地元で育てたサトウキビを原料にしたラム酒も販売しています。 発売する「アルコール77」は、原材料は醸造アルコールと香料で、酒税法上「スピリッツ」に分類されます。希望小売価格は500mlで1200円。酒税385円を含みます。ちなみにスピリッツとは、蒸留酒を指す名称でウオッカ、ジン、ラム、テキーラが世界の四大スピリッツと呼ばれています。 同社が4月3日に発表したプレスリリースで、春田和城社長は「2018年7月の豪雨で甚大な被害を受けましたが、各方面から多大なご支援をいただきました。当社の有する製造設備を活用して、皆様のお役に立てる製品を提供することで、恩返しにつながればと考えたものです」とコメントしています。 同社は「消毒や除菌を目的として製造されたものではない」とはしていますが、原材料は醸造アルコールなので、手指消毒剤として販売されている消毒用アルコールの原料と同じです。また、スーパーやコンビニで販売されている、ウオッカやジンなどのアルコール度数が40度前後なのに対し、アルコール77は、度数が77度と非常に高い度数です。 厚生労働省は新型コロナウイルスの感染対策の一つとして、手指など皮膚の消毒には消毒用アルコール(70%)が有効としているので、手指消毒を想定して製造されたとうかがうことができます。 それならばなぜ、菊水酒造は「手指消毒剤」として販売しないのでしょうか。これにはお酒に適用される法律と、手指消毒剤に適用される法律の違いがあります。手指消毒剤は工業用アルコールに分類されてアルコール事業法の適用になり、経済産業省への許可申請が必要になります。 許可申請して認可を受けるまでにかかる時間を考えれば、「お酒」として販売したほうが早いのは明らかです。菊水酒造にアルコール77の製造の理由について聞こうと取材を申し込みましたが「かなりの反響をいただいており、対応に追われているため、取材はお断りさせていただきます」との回答でした。 ●ウオッカが店頭で品薄になるケースも 課税の面ではどんな違いがあるのでしょうか。酒税法では、お酒の種類によって課税額が変わります。菊水酒造の「アルコール77」は、スピリッツに分類され、アルコール度数が37度未満までは1000リットルにつき37万円、37度を超えると1度ごとに1万円ずつ加算されます。 工業用アルコールは免税されますが、ドラッグストアで販売されている純粋エタノールや、実験用エタノールは原料がお酒と同じため、不正にお酒に転用されないように酒税相当額が加算されます。消毒効果が変わらないのに、店頭の手指消毒剤に価格差があるのはこのためです。 お酒を消毒用アルコールとして使おうとする動きでは、ポーランド産のウオッカ「スピリタス」が酒屋の店頭で品薄になりました。ただ、スピリタスはアルコール度数が96度と高く、揮発性が高いので引火しやすいという指摘もあります。 東京消防庁は消毒用アルコールや高濃度のアルコール飲料には火気のない場所での使用を呼び掛けています。また、NHKの報道によれば、アルコール濃度の高いお酒は、消毒の効果が確かではないという専門家の指摘もあります。消毒用アルコールの品薄状態が解消されるまでは、アルコール77のような「お酒」が出てくる可能性がありそうです。

弁護士ドットコムニュース編集部

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