農薬で自閉症、不妊激増という真実 食べてはいけない食品は?
会食や帰省の自粛を求められ、「おうちごはん」の日々を強いられた年末年始。悲観するばかりではなく、いっそのこと「食」と向き合う期間だったと捉えてはどうか。「国産だから安心・安全」は本当なのか――。ノンフィクション作家・奥野修司氏による警鐘レポート。 【農薬残留調査結果】「食パン」商品名別一覧 ***
新型コロナの第3波が拡大する中の昨年12月8日、福岡県久留米市のJAくるめが出荷した春菊から残留基準値の180倍もの農薬が検出されたことが発覚して大騒ぎになった。検出されたのはイソキサチオンという有機リン系殺虫剤。今回の春菊ならわずか20グラム食べただけで失禁や嘔吐、ひどい場合は痙攣(けいれん)を起こす恐れがあるという。 農家は、タマネギ用を誤って春菊に使ってしまったと説明したそうだが、農薬は使い終わったら即、カギのかかるロッカーなどで厳重に保管するのが常識だから、通常は間違えることはあり得ない。農薬に詳しい専門家は「イソキサチオンはタマネギにも春菊にも認められているので、誤って使ったというより、春菊にも使うつもりが量を間違えて使ったのでしょう。猛毒を扱っているという意識が希薄だからですね」と言った。 死者が出なかったのは不幸中の幸いだ。 春菊に使われた有機リン系殺虫剤というのは、1980年代から使われた1世代前の農薬で、昆虫の中枢神経に作用して殺す殺虫剤だ。2008年の中国製毒ギョーザ事件に使われたメタミドホスもこの系統である。人体への毒性が強く、子供の脳の発達に影響を及ぼす可能性があるとして、EUなどで次々と禁止された。ところが、日本では今でもよく使われている。 有機リン系に替わって登場したのがネオニコチノイド系殺虫剤(ネオニコ)である。有機リン系と作用する場所は違うが、どちらも昆虫の神経伝達を攪乱して殺すことに変わりはない。日本は7種類を認可しているが、春菊にも、実は有機リン系よりネオニコの方がよく使われる。 今回は、食べた人が中毒を起こす可能性があったので大問題になったが、本当の怖さは中毒ではなく、「見えない毒性」にあると言われている。成長期の神経系に有害な作用を及ぼす発達神経毒性である。これまで昆虫に強毒でも、人には影響がなく安全だと言われてきたが、毒性が出にくいだけで、人にも神経毒性があることが最新の研究で明らかになっている。神経毒性はホルモンの作用に似て、少量でも影響を及ぼす。これまで「農薬は少量なら安全」と言われてきた神話が、ネオニコなどの登場で崩れようとしているのだ。