「小学校で友達に古墳の話をしたら引かれた」過去も “古墳”愛が高じてガイドブックも自費出版した中2男子の素顔とは
「(部活は)どう音が出ているのか楽器の構造を知ると演奏が楽しい。(生徒会は)古墳の魅力を伝えるための発信の大切さを実感した。(勉強は)城や古墳の名前を覚える要領で暗記シートを作ったり問題文を作ったりする。覚え方を工夫してきたので学校の勉強にも生かしている」 ■両親はどんな教育をしている? 両親はどのように子育てをしてきたのか。 記者が印象に残ったのは、両親ともに郁仁くんの話に熱心に耳を傾けていたことだ。さらに自分の考察を加えたり、「これはどうなの?」と質問したり、親自身が「もっと知りたい」という好奇心を全力で子どもに向けていた。 父の哲哉さんは生物学を専門とする昆虫の研究者で、岡山大学で医学部の学生に解剖学を教えている。 「高校時代に生物学を履修していない学生にも、わかりやすく教えなければいけない。郁仁が小学校低学年のとき、細胞や免疫について教えるのにアニメの話をしたり、カードを作ってゲーム感覚にしたりして『学生の練習台』にしていたら興味を示してくれた」(哲哉さん) 郁仁さんにとって父親の話は学校の勉強を理解する「土台」になった。 「幼稚園のときから、両親から寝る前に毎日違う話をずっと聞いていた。天体の話、数学のプラスマイナスなど、今も学校の授業でつながることがある」 旅行が大好きな母の恭子さんは恐竜好きだった郁仁さんに「イクト(郁仁)ザウルスが全国各地を旅する物語」を創作して、寝かしつけていた。「地理が大好きなのは母の影響です」と郁仁さんは話す。学校の弁当を作るときは、「前方後円墳型のチーズ」「埴輪形のにんじん」といった古墳形の切り抜きを入れるなど、息子の古墳愛を支えている。 親も子も、お互いの好きなことを共有し興味を持ち一緒に楽しむのが板東家のスタイル。 「実は私自身、城にそれほど興味はわかなかったのですが、古墳めぐりはミステリアスなので子どもと一緒に夢中になっています」(哲哉さん) 郁仁さんは現在2冊目の古墳本を執筆中。両親が校正を担当し、家族一丸となって全力で“墳活”を楽しんでいる。 (取材・文/斉藤真紀子)
斉藤真紀子