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九州で農泊断念相次ぐ 高齢農家「コロナ怖い」 来年度再開へ前向く

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日本農業新聞

 新型コロナウイルスの影響により、「農泊」が盛んな九州で複数の団体が今年度、利用者の受け入れ中止を決めている。農泊事業が低迷する中、感染が広がることを心配する高齢農家が多いことに配慮した。政府は「GoToトラベル」で観光業の回復を急ぐが、農泊を推進する団体は、事業存続と新型コロナ感染防止の両立に苦心する。  大分県宇佐市の安心院町は農泊発祥の地。安心院町グリーンツーリズム研究会には50戸の農家が所属し、民泊や農業体験を提供している。利用客の中心は中高生や訪日外国人の団体客。今年度は4315人を受け入れる予定だったが、9月に年度内は県外団体客の受け入れ中止を決めた。  農業収入があるため農家が無収入に陥ることはないが、手取りが半分以下に減った人もいて影響は大きい。利用客の増加を見込み、宿泊スペースの拡充をしたばかりだった農家もいた。それでも中止に踏み切ったのは、高齢農家のコロナに対する恐怖感からだ。  研究会によると、同町で農泊を提供する農家の平均年齢は68歳。重症化しやすいといわれる高齢者だけに危機意識はホテルや旅館など一般の宿泊業者よりも強い。政府は宿泊業者の支援策として「GoToトラベル」を進めるが、「利用を希望する農家はいなかった」と研究会は説明する。「キャンセルで困るというより、安堵(あんど)した人が多かった」と研究会の宮田静一会長。宿泊予約の9割がキャンセルされ、残った予約は研究会側から辞退した。  鹿児島県でも複数の市町村で今年度、農泊の受け入れを中止した。「新型コロナウイルスの感染防止策を徹底するのは大変」という声が上がった。利用者と同じ場所で食事をしたり、自家用車の送迎で農家と利用者が同じ車内に乗り込んだりするため、ソーシャルディスタンスを保つ工夫が必要なためだ。  かごしまグリーン・ツーリズム協議会は「感染対策を徹底して、食事も別、会話も最小限だとホテルや旅館と変わらない」と指摘。農家と利用者の交流を維持しながら感染防止を徹底する難しさを説明する。  熊本県の阿蘇地域で69戸の農家が農泊を提供する阿蘇地域農泊推進協議会も、4月から受け入れを自粛している。当初は10月までの予定だったが、来年3月末まで延長した。「都会の利用者が田舎に来る。コロナの収束が見えない中では再開しづらい」と話す。  各県とも既に予約が入っているため、来年度から営業を再開できるよう準備を進めている。

日本農業新聞

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