【意外なコラボ作品】オーテックxザガート マツダxGM ランボルギーニxMTI ほか 後編
オーテック・ザガート・ステルヴィオAZ1
text:Alan Taylor-Jones(アラン・テイラー-ジョーンズ) translation:Kenji Nakajima(中嶋健治) ザガート社がデザインし、手作りで生み出されるクルマは、富裕層向けに売られていた。以前から。 【写真】意外なコラボレーション・モデル (23枚) オーテック・ザガート・ステルヴィオAZ1という、仰々しい名前のクルマは、初代ホンダNSXの2台分の値段で発売された。しかし、今ではNSXの半分程度の価格で取引されているようだから、入手するチャンスかも知れない。 オーテックは、日産の子会社。商用の特装車制作や、量産モデルのチューニングを行っている。1986年、日産シルビアとスカイラインのチューニングなどで事業をスタートさせた。 1987年、オーテックは2ドアクーペの日産レパードをベースにした、オリジナルモデルを計画。デザインを依頼されたザガートは、大胆なボディを描き出した。アルミニウムパネルから、職人が打ち出す必要があった。 オーテックは、レパードに搭載されていた3.0L V6ターボエンジンに手を加え、最高出力を280psへ向上。実際に計測したところ、300ps近くは出ていたという。トランスミッションは4速ATで、四輪駆動。快適で俊足なクーペに仕立てられた。 日本がバブル期だった頃は、素晴らしいモデルとして受けとめられただろう。しかし、景気は急速に後退。オーテック・ザガート・ステルヴィオは、予定台数の半分を売ったところで終了してしまう。 ■マニアな小ネタ オーテックとザガートとの関係は続き、1990年代に入り再びコラボレーション。ステルヴィオより控えめなデザインの、ガビアを生み出す。
クライスラーTC バイ・マセラティ
1980年代、アメリカの自動車メーカーでは、イタリアン・ブランドとつながろうとする動きが少なくなかった。クライスラーのリー・アイアコッカも、友人でマセラティを取得するアレッサンドロ・デ・トマソとの提携を決める。 狙いは、スーパーカーのパンテーラではない。2シーターのスポーツカーを、クライスラーの前輪駆動モデルレンジに投入することだった。 Kカーと呼ばれた、ミドルクラスを短くしたようなデザインのTCは、マセラティでボディが生産された。最もパワフルなグレードに用意された、16バルブのエンジンヘッド開発にも携わっている。 ベースのエンジンは、クライスラー製の2.2L 4気筒ターボ。最終的にコスワース社がヘッドを作り、マイレー社がピストンを供給。マセラティがエンジンを組み立てた。 国際的なプロジェクトだったが、マセラティが貴重な時間を費やす。当初目指されたスポーティな2ドアモデルではなく、古びたクライスラー・レバロンのような雰囲気のTCが姿を見せたのは、1988年。価格の高い、中途半端なコンパクトモデルのようだった。 ■マニアな小ネタ TCで小さな4気筒エンジンがお好みでなければ、三菱由来のV型6気筒も選べた。ちなみにこのエンジンは、ダッジ・キャラバンにも搭載されている。