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映画も展示も見逃したくない好企画!

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 【佐藤雅昭の芸能楽書き帳】ウイズコロナ時代の興業について頭を悩ませている映画会社の人間は少なくない。とりあえずの課題は公開延期を余儀なくされた新作の封切り時期をどのあたりに設定するか。はたまた初日の舞台あいさつなど、主要キャストをどう稼働させるか。あれこれと思案を巡らせながら、目下のところ、過去作の企画で勝負している会社が多い。  東映は東京・銀座の丸の内TOEIで7月3日から16日まで、今村昌平監督の「楢山節考」(1983年公開)と今井正監督の「武士道残酷物語」(63年公開)の上映を決めた。カンヌ映画祭で最高賞パルムドールを獲得した「楢山節考」とベルリン映画祭で金熊賞を射止めた「武士道残酷物語」という世界を制した2作の豪華そろい踏み。めったに拝めないトロフィーもロビーに展示するというから、映画ファンの楽しみも倍増だ。  2009年2月、米アカデミー賞で外国語映画賞を贈られた「おくりびと」の滝田洋二郎監督(64)に凱旋後、トロフィーを持たせてもらったことがある。京橋の国立映画アーカイブの展示室ではベネチア映画祭で金獅子賞に輝いた黒澤明監督の「羅生門」のトロフィーを拝んだ記憶がある。それに続く貴重な体験。今からわくわくする。  さて、深沢七郎の同名小説をベースに描いた「楢山節考」は、民間伝承の棄老伝説を題材にしたもので、58年には田中絹代や望月優子、高橋貞二らを起用して木下恵介監督も映画化している。  今村版は緒形拳、坂本スミ子、左とん平、あき竹城、倍賞美津子、清川虹子、辰巳柳太郎らが出演。83年5月の南仏カンヌ映画祭に出品され、大島渚監督の「戦場のメリークリスマス」との日本人同士の“頂上決戦”が話題を呼んだ。  現地で派手にデモンストレーションを展開した“戦メリ”が有利との評判が日本にも伝わっていたが、ふたを開ければ「楢山…」に軍配。現地に向かわず渋谷区初台の自宅で吉報を受けた今村監督の第一声は謙虚に?「うそでしょう」だった。スポニチも5月20日付芸能面でこのニュースを写真付きで伝えているが、下七段には“戦メリ”の広告。カンヌ制覇を当て込んで出稿してくれたのだろうが、今見ても、陣営の悔しさがにじみ出てくるようで苦しい。  今井監督の「武士道残酷物語」は初めてベルリンで金熊賞をゲットした日本映画。南條範夫の「被虐の系譜」を萬屋錦之介や東野英治郎らを配役し、戦国時代から現代まで、残酷な封建社会を7代にまたがる系譜を通して描いた。スポニチも63年7月4日付で快挙を伝えている。現在は毎年2月の映画祭だが、当時は夏の開催だったのは面白い。  世界3大映画祭と言われるベルリン、カンヌ、ベネチア。このうち2つを制した作品が同時に大きなスクリーンで見られるのはなかなかない機会で、逃す手はない。  次は松竹の話題。東京・蒲田に撮影所を開設してから今年でちょうど100年。原田マハの原作を山田洋次監督(88)が映画化する「キネマの神様」も、その記念作という位置付けだ。主演予定だった志村けんさんが新型コロナウイルスによる肺炎で急逝し、代役を沢田研二(72)が務めるのもニュースになった。  国立映画アーカイブでは「松竹第一主義 松竹映画の100年」と題した展示企画が7月7日から8月30日まで展示室で開催される。「松竹キネマの誕生―蒲田と下加茂」から「松竹映画の現在―平成から令和へ」まで5章で構成され、貴重な資料で100年の歩みをたどる趣向。現存する最古の松竹映画作品「路上の霊魂」(1921年、監督村田実)のシナリオや「忠臣蔵」(1932年、監督衣笠貞之助)の監督直筆シナリオ原稿、「淑女は何を忘れたか」(1937年、監督小津安二郎)のポスター、「残菊物語」(1939年、監督溝口健二)のシナリオなどが展示される。こちらも見逃したくない。  

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