センバツV東邦“二刀流”石川の打撃センスは「落合プラス広澤」
石川は5試合で打率.300、3本塁打、2犠飛、8打点の成績を残した。片岡氏はその打撃センスを高く評価。右へ長打を打てることで3冠王を3度獲得した落合博満と、ヤクルト時代に打点王を2度獲得した広澤克実のパワーを彷彿とさせるという。 「三振がない。選球眼がいい証拠だろう。打席の中でいらないボールには一切手を出していない。選球眼のいいバッターはプロ向きだ」 石川は5試合で22打席に立ったが、三振はゼロ。しかも、広陵のドラフト候補、河野からも本塁打を放っている。決して2線級ばかりを打ち崩してきたわけではない。 投手としても5試合全部に先発して3試合に完投。2点以上を取られた試合はない。非凡だ。森田監督も「甲子園にきてピッチャーとして大きく成長した」という。 だが、片岡氏はプロでは投手は難しいと見ている。 「投げ方は野手投げ。だから逆に打者がタイミングをとり辛いのかもしれない。コントロールもいい。ただ本人がどれだけやる気があるのか、どうか。ここを見誤ると大変なことになる。私は、ヤクルトのスカウト時代に野手として獲得した宮出が投手をやりたいと主張して失敗したことがある」 ヤクルトの現打撃コーチである宮出隆自は、1995年にドラフト2位で宇和島東からヤクルトに入団。片岡氏は野手と考えて指名したが本人が投手を希望したため6年間は投手でプレー。先発チャンスももらい通算6勝5敗の成績を残したが、故障などもあって2002年から野手へ転向。2005年にはクリーンナップも任され規定打席には達しなかったが、打率.320、8本塁打、46打点の成績を残して翌年はライトのレギュラーを獲得した。片岡氏は「本人の意向など聞かず最初から野手1本で勝負させていれば、ちゃんと成功していただろう」との思いがある。だからこそ石川には野手1本での勝負を勧めるのである。 夏に激戦区の愛知県大会を石川がどう勝ち抜いてくるのか。さらなる進化と成長を各球団のスカウトは期待を込めて見守っている。